薬学部シラバス2024

基礎物理学
Foundation of Physics

 1年 前期 1年必修科目 1.5単位
横島 智、三島 正規、武田 光広

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授業の目的(ねらい)

物理学における自然現象のとらえ方、考え方は、薬学を含め自然科学諸分野の基礎となるものであり、これから学んでいくことになる専門科目を有効に学習するための基礎である。物理化学、分析化学、有機化学、無機化学、生化学、薬剤学、放射化学など薬学を学んでいく上で必要となる教科に取り組んでいく上で、その科学的基盤となる物理学の考え方や概念をしっかりと身に付けてもらうことが物理学の講義の目的である。

学修到達目標

1)薬学に出てくる物理現象に関係したさまざまな概念(特にエネルギーと波を軸とする)を説明できる。
2)医薬品や生体分子を形成する結合の仕組みを説明できる。
3)電磁波と化学物質との相互作用を説明できる。
4)エネルギー(熱や仕事等)のやりとりと物質の状態変化との関係を説明できる。
5)医薬品の分解、酵素反応等の種々の化学反応に関わる物質の量や状態が時間とともに変化することを理解するとともに、物質の変化量を速度として捉える方法を説明できる。

授業概要

次の項目について、講義する。
1)運動と力(力学)を典型例とする、自然科学的な考察方法の理解・修得
2)電場、磁場、電磁波としての光と電荷との相互作用、干渉、回折、屈折、および静電相互作用
3)薬がはたらくミクロな世界で大事になる量子力学について、基本法則と化学結合、混成軌道、分子軌道
4)熱力学第1法則、エンタルピー、熱力学第2法則、エントロピー
5)反応次数と速度定数、複合反応

授業計画

回数 担当 内容 コアカリとの
関連コード
1 横島 自然科学における物理学の位置づけ,運動の3法則と自由落下,放物運動,落下のモデル化 T-1-1-1
2 円運動 C-1-2-2 T-1-1-1
3 単振動,振り子 C-1-2-2 T-1-1-1
4 仕事,エネルギー,運動量,角運動量 T-1-1-1
5 クーロンの法則,物質と電場の相互作用,物質と磁場の相互作用 C-1-1-2 C-1-2-1
6 波の性質,音,光,電子の波 C-1-2-1,4
7 原子の軌道,エネルギーの量子化 C-1-1-1
8 分子軌道,混成軌道,化学結合 C-1-1-1
9 武田 熱力学1 C-1-3-1
10 熱力学2 C-1-3-2
11 三島 反応速度論1 C-1-4-1~2
12 反応速度論2 C-1-4-3

授業で行っている工夫(アクティブラーニング、思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)

WebClassを使った小テストやクイズにより、授業で学んだ内容がきちんと理解できているかその場で確認する。授業中に全員に質問を出し、解答を集計・発表・コメントすることで、授業参加しているという意識をもてる環境を作っていく。また、デモ実験やビデオなどを活用して、実際の物理現象を身近に感じてもらうことで、物理現象の理解が向上するようにする。

成績評価方法

<試験により評価する>
1) 形成的評価
知識:小テストを繰り返しおこなう。
2) 総括的評価
知識:定期試験(75%)に加えて、小テスト(25%)により総合的に評価する。

教科書

「第5版 物理学基礎 (原康夫著 学術図書出版社)ISBN978-4-7806-0525-9」

参考書

より深く学びたいという人には以下の本を薦める。力学については
「物理学序論としての力学 (藤原邦男 東京大学出版会) ISBN978-4-13-062071-0」
「ファインマン物理学I 力学 (ファインマン、レイトン、サンズ 坪井忠二訳 岩波書店) ISBN4-00-007711-2」
が、物理学入門の役割も持つ良書である。ファインマン物理学シリーズは他の巻も良い。特に
「ファインマン物理学II 光 熱 波動 (ファインマン、レイトン、サンズ 富山小太郎訳 岩波書店) ISBN4-00-007712-0」
は本講義の力学以外の多くの範囲が含まれている。量子力学については、やや高度だが
「身につくシュレーディンガー方程式 (牟田淳著 技術評論社) ISBN978-4-7741-7060-2」
は段階を踏んで学べる内容になっている。量子化学なら
「量子化学入門(上)、(下) (米沢貞次郎、他著 化学同人)ISBN4-7598-0097-2, ISBN4-7598-0098-0」
が定番の名著だが、難しいかもしれない。
より幅広く物理学の基礎については
「基礎講義 物理学 アクティブラーニングにも対応 (井上英史監修、石飛昌光・高須昌子・宮川毅・森河良太著 東京化学同人) ISBN978-4-8079-0971-1」
なども読んでみると良い。
医療系と物理学とのつながりという意味では
「医療系のための物理学入門 (木下順二 講談社)ISBN978-4-06-156325-4」は様々な例を取り上げており、参考になるだろう。
本講義では物理学全般について取り上げるが、特に、物理化学の教科書を独力で読むことが出来るようになることを意識して講義を構成している。その意味では
「アトキンス 物理化学要論 第7版 (Peter Atkins・Julio de Paula著 千原秀昭・稲葉章・鈴木晴訳 東京化学同人) ISBN978-4-8079-0977-3」を参考書として学ぶと、より効果的である。

オフィスアワー

横島:いつでも可。

準備学習(予習・復習等)

授業中に小テストなどでコンピュータを使うので、必ずコンピューターを持参して下さい。また、授業で使うスライドをWebClassに載せますので、予習、復習のために活用して下さい。授業前にあらかじめスライドを軽く見ておくと、疑問意識を持ちながら取り組むことが出来るので高い集中力を保ちやすく、また、授業を聞いている時に先の内容を予想しながら聞くことが出来るので、授業内容の理解が容易になり、問題にも取り組みやすくなります。一方、授業中に出てきた物理の概念を自分のものにするには時間をかけて考え、問題などにも取り組む必要があります。そこで、授業ごとに予習30分と復習を150分以上行うことを心がけて下さい。

学生へのフィードバック

期末試験終了後、フィードバック講義をおこなう。

備考

ナンバリングコード

RC11101

授業計画の見方・注意

①行動目標(内容)

…科目毎に設定された本学独自の行動目標が記載されている。

②行動目標(コアカリとの関連コード)

…本学の行動目標とモデル・コアカリキュラムとの関連をコード化して記載している。
 コードの具体的な内容は、画面右上の「コアカリとの関連コード一覧」をクリックすると確認することができる。

授業計画の見方・注意の見本シラバス

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