薬学部シラバス2024

無機化学・放射化学
Inorganic Chemistry / Radiochemistry

 1年 前期 1年必修科目 1.5単位
吉田 君成、遠藤 朋宏、古石 裕治、袴田 秀樹

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授業の目的(ねらい)

無機化学:物質の物理的性質、化学的性質を理解するために、物質を構成する原子・分子の構造、及び化学結合に関する基本事項を修得する。さらに、医薬品を中心に代表的な無機化合物・錯体の構造、性質に関する基本事項を修得する。
放射化学:核医学診断・治療に用いられる放射性医薬品や医薬品の薬物動態・薬物代謝研究等に利用される放射性化合物(トレーサ)が放出する放射線について、発生機序(放射性壊変)とその特徴、物質との相互作用並びに測定方法に関する基礎的な知識を修得する。

学修到達目標

無機化学:薬剤師に求められる「化学の基本的な知識」を習得することで、医薬品の使用や管理を適切に行うための基礎をかためる。
放射化学:1)医療現場での画像診断や治療で用いられる電離放射線(電磁波と粒子線)の性質及びそれを放出する放射性核種の種類を説明できる。
2)電離放射線と化学物質との相互作用及びこの相互作用に基づく検出方法を説明できる。

授業概要

次の項目について、講義する。
第1回~第8回(無機化学):物質の物理的性質、化学的性質を理解するために、物質を構成する原子・分子の構造、及び化学結合に関する基本事項を修得する。さらに、生体との関りが強い代表的な無機化合物・錯体(活性酸素、ミネラル、遷移元素を含むタンパク質、無機医薬品など)の構造や性質に関する知識を修得する。
第9回~第12回(放射化学):1)原子核の安定性に寄与する要因から放射性壊変を分類し、放出される各放射線の種類と性質を理解する。
2)各放射線の性質と物質との相互作用を理解し、これを利用した放射線の検出方法を理解する。

授業計画

回数 担当 内容 コアカリとの
関連コード
1 古石 原子の構造、原子軌道、電子配置、量子数 C-1-2-1~2
2 ルイス構造式、共有結合、最外殻電子とオクテット則、価電子と形式電荷、共鳴 C-1-1-1 C-3-1-2~3
3 原子価殻電子対反発モデルによる結合角の推定、構造式と共鳴のまとめ C-3-1-2~3 C-3-2-1
4 袴田 結合角に対応する原子軌道(混成軌道)、σ結合とπ結合 C-1-1-1 C-3-1-2
5 分子軌道法、結合次数、磁性とスピン多重度 C-1-1-1 C-3-1-2
6 吉田 16族元素、活性酸素の種類と性質、17族元素 C-1-1-1 C-3-1-3~4 C-3-5-1~2
7 生体必須元素、金属錯体、配位子、錯生成定数、キレート効果 C-1-1-1 C-2-2-7 C-3-1-3,5 C-3-5-3
8 ヘムタンパク質、亜鉛酵素、Cu-Zn SOD、医薬品としての無機化合物 C-3-1-3 C-3-3-11~12 C-3-5-1,3 C-4-1-4 C-4-2-3 C-4-4-3 C-4-5-1 C-6-4-1~2
9 遠藤 原子核の安定性に寄与する要因と放射性壊変 C-1-2-5
10 放射線(電磁波と粒子線)の性質と物質との相互作用(1) C-1-2-1
11 放射線(電磁波と粒子線)の性質と物質との相互作用(2)、放射線検出法(1) C-1-2-1
12 放射線検出法(2) C-1-2-1 C-2-8-3

授業で行っている工夫(アクティブラーニング、思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)

<無機化学>
5月~6月に開講予定の化学入門とも連携し、復習と課題演習を行い、学生の理解を促します。
WebClass に繰り返し取り組める練習問題を掲載するほか、教科書と一部の参考書の訂正一覧、教科書の章末問題の一部についての解答解説、オリジナルの練習問題とその解答解説、テーマ別要点集などを適宜掲載することで学生の積極的な自学習と理解を促します。
オフィスアワー、学習相談を原則常時受け付けていて、学生の自学習を補佐しています。
<放射化学>
各項目毎に補助プリントを配布し、講義中に空欄部分を記入し、知識の整理に役立つようにしている。また、WebClassに項目毎の確認問題および放射薬学関連の薬剤師国家試験問題を掲載し、知識の定着を促している。

成績評価方法

1)形成的評価
a)知識:学生は、WebClass に適宜掲載される演習問題に取り組んでこれらの解答解説を読むことで、学生が各自その時点での自分の理解度を把握でき、次の成長につなげることができます。
2)総括的評価
a)知識:定期試験(100%)により評価します。

教科書

<無機化学>
・ベーシック薬学教科書シリーズ4 無機化学(青木 伸[編] 化学同人)第1版 第16刷以降
<放射化学>
・新 放射化学・放射性医薬品学 改訂第5版(佐治英郎、向高弘、月本光俊 編、南江堂、2021年、ISBN:978-4-524-40382-0)

参考書

<無機化学>
・アトキンス 物理化学要論 第7版(千原 秀昭・稲葉 章 訳 東京化学同人)
 後期の科目である「物理化学I」の指定教科書。やや難しいがカラーの図が豊富で、物理化学に限らず化学の基本事項を学ぶ際のイメージ作りに役立つ。
・無機化合物・錯体 ―生物無機化学の基礎― 第3版(梶 英輔 編 廣川書店)
 現在の指定教科書と同程度の難易度だが、図が少なめで文章による説明が豊富。また、WebClass に訂正一覧を掲載している。
・基本無機化学 第3版(荻野 博、飛田 博実、岡崎 雅明 著 東京化学同人)
 指定教科書よりも難易度は高い。分子軌道論、化学反応理論などの記述が豊富。
・リー 無機化学(J. D. Lee 著 浜口 博、菅野 等 訳 東京化学同人)
 やや古典的な理論も扱っているが、ボリュームがあるので化学の基本的な項目を網羅している。通読は難しいが、化学を勉強する際の辞書として有用。
<放射化学>
・放射化学・放射薬品学 第2版(五郎丸毅、堀江正信 編、廣川書店、2011年、ISBN:978-4-567-26078-7)
・薬学領域の放射科学(佐治英郎 監、廣川書店、2015年、ISBN:978-4-567-26170-8)
・スタンダード薬学シリーズⅡ 2物理系薬学 Ⅰ.物質の物理的性質(日本薬学会編、東京化学同人、2015年、ISBN:978-4-8079-1702-0)

オフィスアワー

<無機化学>
袴田:いつでも可(但し要予約)分析化学教室 研究4号館5階4506
   予約の連絡先:hakaman@toyaku.ac.jp
古石:いつでも可  薬学教育推進センター  教育2号館1階2109または2110
  メールでも質問を受け付けます:kosekiy@toyaku.ac.jp
吉田:いつでも可  薬学教育推進センター  教育2号館1階2109
  メールでも質問を受け付けます:kyoshida@toyaku.ac.jp
<放射化学>
遠藤 朋宏(RI共同実験室・教授) 講義開講日の14:00~17:00 RI共同実験室管理室にて対面での質問等に対応する。
(講義開講日以外でも、業務に支障がない限り、基本的には対面での質問等に対応する。)
電子メール(endoh@toyaku.ac.jp)での質問等も受付ける。受信後、学休日を除く数日以内に回答を送信する。

準備学習(予習・復習等)

<無機化学>
予習:シラバスで講義内容を確認した上で、講義1コマに対して最低でも15分程度は行うことを推奨します。高校で学習した『化学基礎』の「物質の構成と化学結合」、『化学』の「無機物質」「有機化合物」の項目が本講義の基礎になります。無機化学講義の予習をする際には、必要に応じて高校の教科書や資料集、参考書などを用いて高校化学をよく復習して下さい。その上で指定教科書に目を通すことを、一つの予習法として推奨します。分からない事がある場合、その疑問点を明らかにした上で講義に臨むことで、それを理解できる確率が向上します。
復習:講義1コマに対して最低でも30分程度は自学習として行うことを提案します。講義の内容は必ず毎回復習し、自学習だけで限界を感じる場合にはオフィスアワーや学習相談を利用するなどしてあいまいな点、よくわからない点をつぶし、できるだけ理解を深めて下さい。復習は、次回の講義の準備でもあります。積み重ねの学習が最も重要であり、このことは無機化学に限らず、「苦手な科目ほどあてはまる」ということを認識して勉学に励み、充実した学生生活を送って下さい。
<放射化学>
事前に配布する資料に教科書の関連ページが記載されています。これを参考に教科書の該当範囲を読んでから講義に臨むようにしてください。講義後の疑問点は、教科書や参考書を使って、まずは自分で調べてみてください。自分で調べた知識は、忘れないものです。(聞いただけの知識は、忘失が早いです。)それでも理解ができないようであれば、オフィスアワーや次回の講義のときに質問してください。また、確認問題および薬剤師国家試験問題を活用し、知識を応用できるようになっているか、確認してください。

学生へのフィードバック

よくある質問に関しては、周知した方が良いと判断した場合には講義内で説明を行います。また、説明のための追加資料を WebClass に掲載することがあります。

備考

講義プリントは WebClass に掲載するので、そちらを各自印刷して講義の際に持参して下さい。この他にも追加資料の掲載などを充実させるほか、オフィスアワー、学習相談にて可能な限り質問を受け付けますので、これらを活用してください。
また、無機化学に関する質問であれば、どの無機化学担当教員に質問していただいても構いません。質問したい講義回の担当者になかなか連絡がとれない、会う時間の調整が難しい、などの場合には遠慮なく他の講義回担当の無機化学担当教員に質問して下さい。

ナンバリングコード

RC11102

授業計画の見方・注意

①行動目標(内容)

…科目毎に設定された本学独自の行動目標が記載されている。

②行動目標(コアカリとの関連コード)

…本学の行動目標とモデル・コアカリキュラムとの関連をコード化して記載している。
 コードの具体的な内容は、画面右上の「コアカリとの関連コード一覧」をクリックすると確認することができる。

授業計画の見方・注意の見本シラバス

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