薬学部シラバス2024
有機化学Ⅰ
Organic Chemistry Ⅰ
1年 後期 1年必修科目 1.5単位 | |
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宮岡 宏明(1~6) 太田 浩一朗(7~12) |
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授業の目的(ねらい)
医薬品や生体分子には、三次元的な構造が異なる立体異性体や配座異性体が存在することがある。それらに起因した性状の差異が、主作用・副作用及び体内動態に大きく影響する。このような影響を理解するために、有機化合物の基本骨格となる脂肪族化合物の立体構造、性質などに関する基本事項を学修する。また、有機反応全般に関する基礎事項(反応の分類、反応に伴うエネルギー変化と平衡定数および反応速度、反応エネルギー図、曲がった矢印による反応機構の記述方法など)に関する基本事項を学修する。
学修到達目標
1)アルカンの基本的な性質について説明できる。
2)分子模型を用いて化学物質の立体構造をシミュレートすることができる。
3)フィッシャー投影式とニューマン投影式を用いて有機化合物の構造を書くことができる。
4)エタン、ブタンなどの立体配座とその安定性について説明できる。
5)構造異性体と立体異性体の違いについて説明できる。
6)シクロアルカンのシス-トランス異性について説明できる。
7)シクロアルカンの環のひずみを決定する要因について説明できる。
8)シクロヘキサンのいす型配座における水素の結合方向(アキシアル、エクアトリアル)を図示できる。
9)置換シクロヘキサンの安定な立体配座を決定する要因について説明できる。
10)多環式分子の立体配座について説明することができる。
11)キラリティーと光学活性の関係を概説できる。
12)絶対配置の表示法を説明し、キラル化合物の構造を書くことができる。
13)エナンチオマーとジアステレオマーについて説明できる。
14)ラセミ体とメソ化合物について説明できる。
15)旋光度測定法の原理および応用例を説明できる。
16)炭素-炭素二重結合の立体異性(cis,trans ならびにE,Z 異性)について説明できる。
17)比旋光度測定による光学純度決定法を説明できる。
18)比旋光度と絶対配置の関係を説明できる。
19)光学活性化合物を得るための代表的な手法である光学分割を説明できる。
20)有機反応の基本的分類について説明できる。
21)平衡定数および反応速度とそれらを決める各因子との関連、反応エネルギー図の意味を概説できる。
22)曲がった矢印により反応機構を記述できる。
授業概要
次の項目について、講義する。
1)アルカンの性質、エタン、プロパン、ブタンの立体配座
2)シクロアルカンのシス-トランス異性と安定性
3)シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンの立体配座
4)多環式分子の立体配座
5)キラリティーと光学活性
6)CIP 則と絶対配置の表示法
7)アルケンの立体異性
8)ジアステレオマーとメソ化合物
9)ラセミ体と鏡像異性体の分割
10)有機反応の分類
11)平衡定数と反応速度
12)反応中間体、遷移状態、反応エネルギー図
13)反応機構
授業計画
回数 | 担当 | 内容 | コアカリとの 関連コード |
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1 | 宮岡・太田 | アルカンの性質、エタン、プロパン、ブタンの立体配座 | C-3-2-1 C-3-3-1 |
2 | 〃 | シクロアルカンのシス-トランス異性と安定性 | C-3-2-1 C-3-3-1 |
3 | 〃 | シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンの立体配座 | C-3-2-1 C-3-3-1 |
4 | 〃 | シクロヘキサンの立体配座 | C-3-2-1 C-3-3-1 |
5 | 〃 | 置換シクロヘキサンの立体配座 | C-3-2-1 C-3-3-1 |
6 | 〃 | 多環式分子の立体配座 | C-3-2-1 C-3-3-1 |
7 | 〃 | キラリティーと光学活性 | C-1-2-4 C-3-2-1~2 |
8 | 〃 | CIP則、絶対配置の表示法(R,S)、アルケンの立体異性(E,Z) | C-3-1-1 C-3-2-1~2 C-3-3-1~2 |
9 | 〃 | ジアステレオマーとメソ化合物 | C-3-2-1~2 C-3-3-1 |
10 | 〃 | ラセミ体と鏡像異性体の分割 | C-3-2-1~2 C-3-3-1 |
11 | 〃 | 有機反応の概観:有機反応の分類、平衡定数、反応速度 | C-1-4-1,3 C-3-1-6 |
12 | 〃 | 有機反応の概観:反応中間体、遷移状態、反応エネルギー図、曲がった矢印 | C-1-4-1,3 C-3-1-3~4,6 |
授業で行っている工夫(アクティブラーニング、思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)
あらかじめ目標とするキーワードを提示し、目標を明確にしている。
講義の進捗に合わせて、課題、小テスト等による演習、解説を行い、理解を深めるよう努めている。
各自で分子構造模型を組み立てさせ、分子の立体構造の理解を深めさせる。
成績評価方法
1)形成的評価
a)知識:演習、小テスト等を行う。
2)総括的評価
a)知識:定期試験(100%)で評価する。
定期試験の得点率により、以下のように評価する。
・S(85%以上):合格
・A(70~85%未満):合格
・B(60~70%未満):合格
・D(60%未満):不合格(再試験受験)
※再試験
・C(60%以上):合格
・D(60%未満):不合格
教科書
マクマリー有機化学 第9 版(上、中、下)(J. McMurry 著 伊東ら訳 東京化学同人 ISBN978-4807909124、978-4807909131、978-4807909148)
マクマリー有機化学問題の解き方 第9 版 英語版 (S. McMurry 著 東京化学同人 ISBN978-4807909155)
教材:分子構造模型
参考書
困ったときの有機化学 第2 版(上,下)(D.R. クライン 著 竹内敬人、山口和夫 訳 化学同人 ISBN978-4759819458、978-4759819465)
ウォーレン有機化学 第2 版(上、下)(W.Warren ら著,野依ら監訳,東京化学同人 ISBN978-4807908714、978-4807908721)
ボルハルト・ショアー現代有機化学 第8 版(上、下)(K. P. C. Vollhardt、N. E. Schore 著 古賀ら監訳 化学同人 ISBN978-4759820294、978-4759820300)
オフィスアワー
宮岡 宏明(生物分子有機化学講座・教授)いつでも可。但し、メール(miyaokah@toyaku.ac.jp)による予約が必要。
太田 浩一朗(生物分子有機化学講座・講師)いつでも可。但し、メール(otak@toyaku.ac.jp)による予約が必要。
準備学習(予習・復習等)
前期に学習した『無機化学』の「混成軌道」、『基礎有機化学』の「アルカン」「アルケン」の項目が、本講義の基礎になりますので、良く復習をしてから、講義に臨んでください。
授業ごとに予習と復習を各々90 分以上行うこと。授業を受ける前に講義予定項目の学修到達目標を確認し、教科書の該当範囲を読んでから講義に臨むようにしてください。また、講義の後は必ず復習してください。分からないことをそのままにしないで、参考書等で調べてください。自分で調べることがとても大切です。それでも理解できなければ、オフィスアワーや次回の講義のときに質問してください。
学生へのフィードバック
学生から寄せられた質問や感想などに対して、必要に応じて授業中に全学生に対してその内容を伝え、解説を加える等の対応を行っている。定期試験後にフィードバック講義を実施し、知識の定着を図る。
備考
ナンバリングコード
RC21201