薬学部シラバス2024
文章表現
Japanese Composition
1・2年 前期・後期 (選択)一般教養 1単位 | |
---|---|
天野 かおり |
すべて開く
すべて閉じる
授業の目的(ねらい)
「書き方」とは「考え方」です。文章を書くとき、書き手は改めて自分の「考え(発想の内容)」や「考え方(発想の方法)」を問い直すことになります。自分なりの考えを、誰にでも理解できるように示す――これが、実用的な文章の基本です。
本講義では、実用的な文章を書く際の「発想方法」・「執筆手順」を一つ一つ解説していきます。受講者は実際に課題文を作成・提出し、添削例を通して各々の文章力向上を図って下さい。
なお、文章力というものは技術学修だけでは向上しません。テーマに関する問題意識・文章を作成する目的意識の存在が、向上の大前提となります。そのため本講義は、なぜその文章を書く(考える)必要があるのか・なぜ文章に論理性が必要なのかを考察しながら進めます。また文章構成法に必要な「日本語表現に関する知識」も、これらと並行して確認していきます。
今後の社会生活で要求される「自分の意見を的確に伝える力」を、文章で実践的に磨く講義です。
学修到達目標
1)「他者に伝えるための文章」作成に必要な行程・手順を理解し、これを常に意識しながら実践できる。
2)論理的(ロジカル)思考と批判的(クリティカル)思考の意義・方法を理解し、これらを自分の着想や資料分析・文章構成に応用できる。
3)「他者に伝えるための文章」に適した日本語表現・用語・表記を理解し、目的に応じて選択・使用できる。
4)「他者に伝えるための文章」に適した構成・展開を理解し、目的に応じて選択・実践できる。
授業概要
次の項目について、講義・演習する。
1)「他者に伝える」ために作成された文章例(身近な取扱説明書・添付文書など)の検証
2)「読み手にとって誤解なく理解しやすい」日本語表現・言葉の選択(検討・実践)
3)手順を踏まえた、「主題」の着想・選択の方法
4)「主題」を効果的に伝えるために必要な、文章全体の「設計図(構成表)」
5)「目上の人へ用件を伝える」手紙文における、適切な文章構成と敬意表現(確認・実践)
6)段落構成や接続詞・文体の選択が与える、読み手への印象と効果
7)「レポート」という文書の目的と基本構成・適切な表現
8)「他者に伝える」文章を推敲する際の、具体的な項目・方法
授業計画
回数 | 担当 | 内容 | コアカリとの 関連コード |
---|---|---|---|
1 | 天野 | 【「書き方」は「考え方」である】:文章構成法の基本 | T-1-1-1 |
2 | 〃 | 【文章の目的/適切な「ことば」の選択】:取扱説明書・辞書を知る | T-1-1-1 |
3 | 〃 | 【主題の着想・選択方法】:発想の可視化 | T-1-1-1 |
4 | 〃 | 【論拠にふさわしい情報とは(収集先)】 | T-1-1-1 |
5 | 〃 | 【崩壊しないための、アウトライン作成】:伝達の効果的順序 | T-1-1-1 |
6 | 〃 | 【書簡文のアウトライン・敬語】:復習と実践 | T-1-1-1 |
7 | 〃 | 【「他者に提出する文章」に必要な推敲・要約力】:推敲・情報要約の方法 | T-1-1-1 |
8 | 〃 | 【段落・語順の効果、タイトルの役割】 | T-1-1-1 |
9 | 〃 | 【まとめ】:到達目標の振り返り | T-1-1-1 |
授業で行っている工夫(アクティブラーニング、思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)
・毎回リアクションペーパーを課し、講義内容に関するブレーンストーミングや所感を記入させている。
・短い字数の課題を、複数回提出させている。課題添削例は後日、講義内で分かち合う。
・課題提出の際に、「主題表」の事前作成を課して「他者に渡す文章」として適切か客観視させている。
成績評価方法
<レポート・課題により評価する>
1)形成的評価
a)知識:①講義内容に応じた質問に対して、自身の経験と照合し、具体的に表現する(リアクションペーパー)。②講義内容が、文章構成法の全体像においてどのような位置付けにあるかを理解し、実践する(課題)。
2)総括的評価
a)知識:各回のリアクションペーパー(15%)、提出課題・レポート(85%)から総合的に評価する。
c)態度:繰り返しの形成的評価で向上が認められれば、それを最終評価に加味する。
教科書
・資料を適宜配付する。
・各回、WebClassに復習用資料を掲出(リアクションペーパー入力・提出前に、必ず一読すること)。
参考書
「大学生のためのレトリック入門」(速水博司、蒼丘書林)
「理科系の作文技術」(木下是雄、中公新書)
※その他、以下の日本語表現にも積極的に触れて欲しい。
・「取扱説明書」の文章(主に医薬品・化粧品・家電製品に付属のもの)
・「ブックレビュー」「書評」の文章(雑誌や新聞紙上に、実名で公開されたもの)
・国語辞書や類語辞書の「語釈」(複数の読み比べを勧める。)
オフィスアワー
天野:講義終了後、講師控室前にて
※ただし、事前に薬学事務課へ問合せること(その際、「自分の氏名」と「用件(簡潔に)」の両方を必ず事務課担当者に伝え、指示を待つこと)。
準備学習(予習・復習等)
課題のテーマは、その現状と背景について各自でも調査・把握しておく(事前調査・補足調査)。
また課題のテーマと自分との関わりについて、講義前後を問わず分析しておく(ブレーンストーミング)。
以上の予習(講義前ブレーンストーミング・事前調査)と復習(講義後ブレーンストーミング・補足調査)は、各々60分を目安として効率よく行うこと。
学生へのフィードバック
毎回提出するリアクションペーパーの記入例・各提出課題へのコメント例は、随時講義内で分かち合いアドバイスを行う。
備考
文章力向上のためにも、課題・レポートは必ず全て提出すること。
ナンバリングコード
EJ11108 / EH1106