薬学部シラバス2024
専門薬剤師特論Ⅱ
Advanced Topics of Board Certified Pharmacy Specialist Ⅱ
| 6年 前期 （選択）専門科目Ⅱ 1単位 | |
|---|---|
| 下枝 貞彦、杉浦 宗敏、平田 尚人、影山 美穂、畔蒜 祐一郎 |
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学習目標（GIO）
臨床現場に関わる薬剤師は、患者に安全・最適な薬物療法を提供するために、正確な患者情報の収集を基本とし、病状を正しく評価し、適切な医薬品情報を基に、個々の患者に応じた薬物療法を提案・実施・再検証できる能力が求められる。さらに近年では医療チームの一員として、特に薬剤師は、医薬品のリスク回避を目的に、有害事象（副作用、相互作用）、薬害、薬物乱用に関しても精通することが求められている。
そこで本講義では、患者情報に応じた薬の選択、用法・用量の設定、医薬品情報・安全性ならびに治療ガイドラインを考慮した適正な薬物療法を提示するために、患者情報を解析し、具体的症例を交えながらながら最適な薬物治療を実践するための薬学的アプローチを伝授する。特に本講義は対象が実務実習を終了した6年生であることから、病院薬学的視点からの実践的な薬学的アプローチの手法について解説する。
将来、専門薬剤師を目指す学生にとって本講義は、実際に専門薬剤師が臨床現場でどのような視点から薬学的アプローチ行っているのか、その一端を修得することができる。
行動目標（SBOs）
| 番号 | 内容 | コアカリとの関連コード |
|---|---|---|
| 1 | 抗悪性腫瘍薬の主な副作用（下痢、悪心・嘔吐、白血球減少、皮膚障害（手足症候群を含む）、血小板減少等）の軽減のための対処法を説明できる。 | E2-7-8-3 |
| 2 | 代表的ながん化学療法のレジメン（FOLFOX 等）について、構成薬物およびその役割、副作用、対象疾患を概説できる。 | E2-7-8-4 |
| 3 | 胃癌、食道癌、肝癌、大腸癌、胆囊・胆管癌、膵癌について、病態（病態生理、症状等）・薬物治療（医薬品の選択等）を説明できる。 | E2-7-8-8 |
| 4 | 肺癌について、病態（病態生理、症状等）・薬物治療（医薬品の選択等）を説明できる。 | E2-7-8-9 |
| 5 | 急性（慢性）骨髄性白血病、急性（慢性）リンパ性白血病、成人T 細胞白血病（ATL）について、病態（病態生理、症状等）・薬物治療（医薬品の選択等）を説明できる。 | E2-7-8-5 |
| 6 | 悪性リンパ腫および多発性骨髄腫について、病態（病態生理、症状等）・薬物治療（医薬品の選択等）を説明できる。 | E2-7-8-6 |
| 7 | 急性心筋梗塞、急性心不全、急性大動脈解離、重症型急性心筋炎、致死的重症不整脈、ショック等、循環器系救急疾患の病態および集中治療領域における薬物治療（医薬品の選択・用法用量・投与方法等）と患者モニタリングの要点について説明できる。 | E2-3-1-1～5 |
| 8 | 感染性心内膜炎（IE）、播種性血管内凝固症候群（DIC）、肺血栓塞栓症、開心術後の抗凝固療法等、集中治療領域における病態と薬物治療（医薬品の選択・用法用量・投与方法等）および患者モニタリングの要点について説明できる。 | E2-3-2-2,4～5 E2-7-3-8 |
| 9 | 麻薬性鎮痛薬、非麻薬性鎮痛薬の薬理（薬理作用、機序、主な副作用）および臨床適用（WHO 三段階除痛ラダーを含む）を説明できる。 | E2-1-3-2 |
| 10 | がん終末期の病態（病態生理、症状等）、治療と薬物治療（医薬品の選択等）を説明できる。 | E2-7-9-1～2 |
| 11 | チーム医療における薬剤師の役割と重要性、多様な医療チームの目的と構成、構成員の役割について説明できる。 | F-4-1-1～2 |
| 12 | 糖尿病とその合併症について、治療薬の薬理（薬理作用、機序、主な副作用）、および病態（病態生理、症状等）・薬物治療（医薬品の選択等）を説明できる。 | E2-5-1-1 E2-5-3-1 |
| 13 | 病院と地域の医療連携の意義と具体的な方法（連携クリニカルパス、退院時共同指導、病院・薬局連携、関連施設との連携等）や地域の保健、医療、福祉に関わる職種を説明できる。 | F-4-1-1～3 F-4-2-1 |
| 14 | 疾病の予防および健康管理、代表的な生活習慣の改善に対するアドバイスができる。 | F-5-3-4,9 |
授業内容
| 回数 | 担当 | 内容 | 対応（SBOs） |
|---|---|---|---|
| 1 | 下枝 | 臨床腫瘍薬剤学① 実臨床からみたがん専門薬剤師の役割 固形がん編① |
1,2 |
| 2 | 〃 | 臨床腫瘍薬剤学① 実臨床からみたがん専門薬剤師の役割 固形がん編② |
3 |
| 3 | 〃 | 臨床腫瘍薬剤学① 実臨床からみたがん専門薬剤師の役割 固形がん編③ |
4 |
| 4 | 杉浦 | 麻薬と緩和ケアの重要性① | 9 |
| 5 | 〃 | 麻薬と緩和ケアの重要性② | 10 |
| 6 | 〃 | 麻薬と緩和ケアの重要性③ | 11 |
| 7 | 平田 | 循環器系救急疾患の病態と薬物治療 集中治療領域における薬剤師の役割① |
7 |
| 8 | 〃 | 循環器系救急疾患の病態と薬物治療 集中治療領域における薬剤師の役割② |
7 |
| 9 | 〃 | 循環器系救急疾患の病態と薬物治療 集中治療領域における薬剤師の役割③ |
8 |
| 10 | 畔蒜 | 臨床腫瘍薬剤学② 血液内科領域における薬剤師の役割① |
5 |
| 11 | 〃 | 臨床腫瘍薬剤学② 血液内科領域における薬剤師の役割② |
5 |
| 12 | 〃 | 臨床腫瘍薬剤学② 血液内科領域における薬剤師の役割③ |
6 |
| 13 | 影山 | 糖尿病等の生活習慣病領域での薬剤師の役割① | 12 |
| 14 | 〃 | 糖尿病等の生活習慣病領域での薬剤師の役割② | 13 |
| 15 | 〃 | 糖尿病等の生活習慣病領域での薬剤師の役割③ | 14 |
アクティブ・ラーニングの取り組み
各回に補助プリントを配布し、講義を進行しながら、空欄部分を記入させるようにしている。さらに、各回に学生を指名し症例内容に対するポイント、薬学的アプローチについて意見を述べさせている。
授業で行っている工夫（思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み）
症例ベースで構成されてる講義を展開するため、自らの臨床経験も加味しながらどのように薬学的視点からアプローチを加えていくべきなのか、臨場感を持って学生に伝えるための工夫をしている。
成績評価方法
＜試験により評価する＞
2）総括的評価
a）知識：毎回の授業内試験（レポート）の結果に基づいて評価する（100%）。必要に応じて追再試験を1回実施する。 但し、受講態度によっては受験資格を失うことがある。
教科書
教科書の指定はない。
講義資料はWebClassより各自で印刷し、講義時に持参すること。なお講義資料がある場合は、原則として講義前日の18時を目途にWebClass上で公開される。
参考書
疾患と治療薬 改訂第6版（南江堂）
visual core pharma 薬物治療学 改訂12版（南山堂）
治療薬マニュアル 2024（医学書院）
今日の治療指針 2024年度版（医学書院）
処方管理学（南山堂）
ICU実践ハンドブック改訂版（羊土社）
病気がみえる vol.2 循環器 第5版（医療情報科学研究所）
循環器治療薬ファイル 第3版 薬物治療のセンスを身につける（メディカル・サイエンス・インターナショナル）
がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版（金原出版）
新臨床腫瘍学 改定第6版（南江堂）
オフィスアワー
下枝 貞彦：火曜日の終日と水曜日の午前以外はいつでも可。但し、事前にメール(shimoeda@toyaku.ac.jp）による予約が必要。
杉浦 宗敏：いつでも可。但し、メールによる事前の予約が必要。
平田 尚人：水曜日以外はいつでも可。ただし、事前にメールでの連絡が必要。
影山 美穂：いつでも可。但し、メールによる事前の予約が必須。
畔蒜 祐一郎：木曜日以外はいつでも可。但し、メールによる予約が必要。
所属教室
下枝 貞彦 臨床薬剤学教室 教授 医療薬学研究棟2階 M207号室
杉浦 宗敏 医薬品安全管理学教室 教授 医療薬学研究棟3階 M304号室
平田 尚人 臨床薬剤学教室 准教授 医療薬学研究棟2階 M206号室
影山 美穂 薬学実務実習教育センター 講師 教育5号館6階教員室(5601)
畔蒜 祐一郎 臨床薬剤学教室 助教 医療薬学研究棟2階 M206号室
準備学習（予習・復習等）
70分の授業ごとに予習と復習を各々70分以上行うこと。授業を受ける前に講義予定項目のSBOを確認し，テキスト（プリント）の該当範囲を読んでから講義に臨むこと。また講義の後は必ず復習し、判らないことはそのまま放置せずに、参考書等で調べ理解を深める必要がある。自分で調べることがとても重要であるが、それでも理解できなければ、オフィスアワーや次回の講義時に教員に質問すること。
なお、講義で用いる資料については原則として講義前日の18時までに WebClassにアップするので、受講者各自で印刷し資料に目を通してから講義に臨むこと。
学生へのフィードバック
各講義の終了時にその日に行った講義内容のポイントを講義中に用いた資料を振り返りながら復習する。また、講義開始時においても前回の講義内容を冒頭で復習して、その日の講義につなげる工夫をしていく。
教員からの一言
本講義は、長年第一線の病院薬剤師として現場経験を積み、様々な疾患に精通した教員が講義を行う。また、その教員はいずれも専門分野を有しており、患者に対して薬物治療行う際、何をポイントにチーム医療の中で薬学的アプローチを行っていくべきなのかそのコツを熟知している。
そこで、将来臨床現場において専門薬剤師を目指す学生には、各領域において専門性に特化する際、その基礎となる薬学的アプローチの考え方を理解し、医療チームの中で信頼される専門薬剤師になるための準備学習を提供する。
備考
実務家教員担当科目
ナンバリングコード
EH6105
