薬学部シラバス2024

病原微生物学
Pathogenic Microbiology

 2年 後期 2年必修科目 1単位
中南 秀将

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学習目標(GIO)

多種多様な微生物のうち、ヒトや動物に感染症を起こすものが病原微生物と呼ばれる。感染症の予防と治療には、原因となる微生物の特徴や病原性、感染メカニズムを理解することが重要である。また、感染症治療薬の特徴や作用メカニズムに関する知識も必要である。本講義では、代表的な病原微生物と感染症治療薬の基礎的知識を習得する。

行動目標(SBOs)

番号 内容 コアカリとの関連コード
1 感染の成立(感染源、感染経路、侵入門戸など)と共生(腸内細菌など)について説明できる。 C8-4-1-1
2 DNA ウイルス(ヒトヘルペスウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、B 型肝炎ウイルスなど)について概説できる。 C8-4-2-1
3 RNA ウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、C 型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、日本脳炎ウイルス、狂犬病ウイルス、ムンプスウイルス、HIV、HTLV など)について概説できる。 C8-4-2-2
4 グラム陽性球菌(ブドウ球菌、レンサ球菌など)およびグラム陽性桿菌(破傷風菌、ガス壊疽菌、ボツリヌス菌、ジフテリア菌、炭疽菌、セレウス菌、ディフィシル菌など)について概説できる。 C8-4-2-3
5 グラム陰性球菌(淋菌、髄膜炎菌など)およびグラム陰性桿菌(大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属菌、チフス菌、エルシニア属菌、クレブシエラ属菌、コレラ菌、百日咳菌、腸炎ビブリオ、緑膿菌、レジオネラ、インフルエンザ菌など)について概説できる。 C8-4-2-4
6 グラム陰性らせん菌(ヘリコバクター・ピロリ、カンピロバクター・ジェジュニ/コリなど)およびスピロヘータについて概説できる。 C8-4-2-5
7 抗酸菌(結核菌、らい菌など)について概説できる。 C8-4-2-6
8 マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアについて概説できる。 C8-4-2-7
9 真菌(アスペルギルス、クリプトコックス、カンジダ、ムーコル、白癬菌など)について概説できる。 C8-4-2-8
10 原虫(マラリア原虫、トキソプラズマ、腟トリコモナス、クリプトスポリジウム、赤痢アメーバなど)、蠕虫(回虫、鞭虫、アニサキス、エキノコックスなど)について概説できる。 C8-4-2-9
11 代表的な細菌毒素について説明できる。 C8-3-2-6
12 感染症法における、感染症とその分類について説明できる。 D1-2-2-2
13 代表的な細菌性・ウイルス性食中毒を列挙し、それらの原因となる微生物の性質、症状、原因食品および予防方法について説明できる。 D1-3-3-1
14 代表的な微生物検査の検査項目を列挙し、目的と異常所見を説明できる。 E1-2-2-7
15 以下の抗菌薬の薬理作用、機序、スペクトルを説明できる。
β-ラクタム系、テトラサイクリン系、マクロライド系、アミノグリコシド系、キノロン系、グリコペプチド系、抗結核薬、サルファ剤、その他の抗菌薬
C4-3-4-3~5 E2-7-1-1
16 細菌感染症に関係する代表的な生物製剤(ワクチン)をあげ、その作用機序を説明できる。 E2-7-1-2
17 ヘルペスウイルス感染症(単純ヘルペス、水痘・帯状疱疹)について、治療薬の薬理、予防方法および病態・薬物治療を説明できる。 E2-7-4-1
18 サイトメガロウイルス感染症について、治療薬の薬理および病態・薬物治療を説明できる。 E2-7-4-2
19 インフルエンザについて、治療薬の薬理、感染経路と予防方法および病態・薬物治療を説明できる。 E2-7-4-3
20 ウイルス性肝炎(HAV、HBV、HCV)について、治療薬の薬理、感染経路と予防方法および病態(急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん)・薬物治療を説明できる。 C4-3-4-1 E2-7-4-4
21 後天性免疫不全症候群(AIDS)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、感染経路と予防方法および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 C4-3-4-1 E2-7-4-5
22 以下のウイルス感染症(プリオン病を含む)について、感染経路と予防方法および病態・薬物治療を説明できる。
伝染性紅斑(リンゴ病)、手足口病、伝染性単核球症、突発性発疹、咽頭結膜熱、ウイルス性下痢症、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、風邪症候群、Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト-ヤコブ)病
E2-7-4-6
23 抗真菌薬の薬理および臨床適用を説明できる。 E2-7-5-1
24 以下の真菌感染症について、病態・薬物治療を説明できる。
皮膚真菌症、カンジダ症、ニューモシスチス肺炎、肺アスペルギルス症、クリプトコックス症
E2-7-5-2
25 以下の原虫感染症について、治療薬の薬理および病態・薬物治療を説明できる。
マラリア、トキソプラズマ症、トリコモナス症、アメーバ赤痢
E2-7-6-1
26 以下の寄生虫感染症について、治療薬の薬理および病態・薬物治療を説明できる。
回虫症、蟯虫症、アニサキス症
E2-7-6-2
27 病原微生物が関わる疾患に用いられる代表的な薬物の基本構造と薬効の関連を概説できる。 E2-7-10-1
28 細菌の同定に用いる代表的な試験法(生化学的性状試験、血清型別試験、分子生物学的試験)について説明できる。 Y-3-65-1
29 主要な抗菌薬の耐性獲得機構および耐性菌出現への対応を説明できる。 E2-7-2-1
30 薬剤耐性および薬剤耐性化機構について概説できる。 C8-3-2-5

授業内容

回数 担当 内容 対応(SBOs)
1 中南 抗菌薬各論(1)細胞壁合成阻害薬 1、15、27、29、30
2 抗菌薬各論(2)タンパク質合成阻害薬、核酸合成阻害薬 1、15、27、29、30
3 抗菌薬各論(3)その他の抗菌薬
薬剤耐性メカニズム
1、15、27、29、30
4 病原細菌各論(1)グラム陽性球菌 1、4、11、12、13、14、28
5 病原細菌各論(2)グラム陽性桿菌、その他のグラム陽性菌 4、11、12、13、14、16、28
6 病原細菌各論(3)抗酸菌、グラム陰性球菌 5、7、11、12、14、16、28
7 病原細菌各論(4)グラム陰性桿菌 5、11、12、14、16、28
8 病原細菌各論(5)グラム陰性桿菌、らせん菌 5、6、11、12、14、16、28
9 病原細菌各論(6)マイコプラズマ、クラミジア、リケッチア 8、12、28
10 ウイルス各論(1)DNAウイルス、抗ウイルス薬 2、12、14、17、18
11 ウイルス各論(2)RNAウイルス、抗ウイルス薬 3、12、14、19、22
12 ウイルス各論(3)レトロウイルス、肝炎ウイルス、抗ウイルス薬 2、3、12、14、20、21
13 病原真菌各論、抗真菌薬
原虫・寄生虫各論、抗原虫・寄生虫薬
9、10、12、23、24、25、26、27

アクティブ・ラーニングの取り組み

重要なポイントは講義中に教え、各自にメモを取らせるようにしている。
また、WebClass上に確認問題を掲載し、各自で知識の定着を図らせる。

授業で行っている工夫(思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)

講義は教科書を中心に行うが、パワーポイント等を用いて最新の感染症情報を随時提供している。また、図や顕微鏡写真を用いて、通常は見えない微生物を視覚的にとらえられるような講義を行っている。
講義内容の定着を目的とした、確認問題をWebClassで公開している。

成績評価方法

<試験、レポート・課題により評価する>
1)形成的評価
a) 知識:ペーパー試験に加え、WebClassの確認問題や口頭試問等にて評価する
2)総括的評価
a) 知識:定期試験(80%)、WebClassの確認問題(20%)にて評価する。
成績評価の基準
<評価(総括的評価)>
S (90%以上):合格
A (80~90%未満):合格
B (70~80%未満):合格
C (60~70%未満):合格
D (60%未満):不合格
※再試験の成績・・・合格の場合C
出席不良者(全講義の1/3以上の欠席)に対しては、定期試験の受験停止措置を講ずることがある。欠席や遅刻等で、適切な理由があるものは欠席届を提出すること。

教科書

基礎から臨床までカバーできる 薬系微生物学・感染症学(南江堂)

参考書

戸田新細菌学(吉田 眞一ら編 南山堂)
標準微生物学(神谷 茂ら編 医学書院)
ブラック微生物学(林 英生ら監訳 丸善)
イラストレイテッド微生物学(山口 恵三ら監訳 丸善)
病原真菌と真菌症(山口 英世著 南山堂)

オフィスアワー

中南 いつでも可(臨床微生物学教室)

所属教室

中南 秀将 臨床微生物学教室 研究2号館6階

準備学習(予習・復習等)

講義の練習問題はWebClassに掲載しますので各自ダウンロードして活用してください。

学生へのフィードバック

講義開始時に前回の講義内容に関する練習問題を行い、解答と解説によるフィードバックを行う。また、定期試験後は、試験に関する質問を随時受け付け、フィードバックを行う。

教員からの一言

病原微生物学では、微生物学で学んだ知識を発展させ、病原体に焦点を当てた講義を行います。微生物学の内容をきちんと理解しておくとともに、わからない点は積極的に質問し、解決するようにしてください。

備考

モデル・コアカリキュラムに書かれている微生物関連の知識は最小限である。そのため、本講義では、医療現場で必要な知識は全て講義する。

ナンバリングコード

RC2205

授業計画の見方・注意

①行動目標(内容)

…科目毎に設定された本学独自の行動目標が記載されている。

②行動目標(コアカリとの関連コード)

…本学の行動目標とモデル・コアカリキュラムとの関連をコード化して記載している。
 コードの具体的な内容は、画面右上の「コアカリとの関連コード一覧」をクリックすると確認することができる。

授業計画の見方・注意の見本シラバス

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