薬学部シラバス2024

物理薬剤学
Physical Pharmaceutics

 2年 後期 2年必修科目 1単位
根岸 洋一
高橋 葉子
田所 弘子
石原 比呂之
濱野 展人

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学習目標(GIO)

薬物は、錠剤、注射剤などのように患者に投与できる形態(剤形)に製剤化されて、はじめて医薬品として医療現場に提供される。薬物の有効性や安全性を高めた製剤とするには、生体内において適切な作用時間および臓器・組織での作用発現を考慮した剤形の工夫が必要である。そこで、物理薬剤学では新たな投与形態としてのDDS製剤について紹介するとともに、それらの医薬品製剤開発に必須な薬物と製剤材料の物理学的な性質を理解するために、溶液論、粉体科学、界面化学、分散系、レオロジー、医薬品の安定性・安定化など、薬剤学の基礎知識を習得する。                                                                                      

行動目標(SBOs)

番号 内容 コアカリとの関連コード
1 製剤化およびDrug delivery system(DDS)の意義と概要について説明できる。 E5-2-1-1 E5-3-1-1 E5-3-4-1
2 代表的な放出制御型製剤について概説できる。 E5-3-2-1~3
3 代表的な標的指向型製剤について概説できる。 E5-3-3-1~3
4 薬物の溶解速度および溶解速度を改善する製剤学的手法を説明できる。 E5-1-1-3~5
5 界面の性質(界面張力と溶質の表面吸着など)について説明できる。 E5-1-3-1
6 代表的な界面活性剤の種類と性質(ミセル形成と可溶化能など)について説明できる。 E5-1-3-1~2
7 代表的な分散系と分散粒子の安定性について説明できる。 E5-1-3-2~4
8 流動と変形(レオロジー)について説明できる。 E5-1-2-1
9 高分子の構造と高分子溶液の性質(粘度など)について説明できる。 E5-1-2-2
10 製剤分野で汎用される高分子の構造を理解し、その物性について説明できる。 E5-1-4-1
11 粉体粒子の物理化学的性質について説明できる。 E5-1-1-1~2
12 粉体粒子の粒子径と粒度分布について説明できる。 E5-1-1-1
13 結晶や非晶質、無水物や水和物の性質について説明できる。 E5-1-1-2
14 薬物の安定性(分解速度など)および安定性に影響を及ぼす因子について説明できる。 E5-1-4-2
15 薬物の安定性を高める代表的な手法を列挙し、説明できる。 E5-1-4-3 E5-3-1-2

授業内容

回数 担当 内容 対応(SBOs)
1 根岸、髙橋 序論(製剤化およびDDS化の重要性) 1、2、3
2 根岸、髙橋 薬物の放出制御および標的指向化の基本概念 2、3
3 根岸、髙橋 界面現象と界面活性剤 5、6
4-5 根岸、髙橋 分散系(コロイド・乳剤・懸濁剤の性質、その安定性と安定化法) 7
6 根岸、髙橋 製剤からの薬物の溶出 4
7-8 根岸、髙橋 製剤の安定性 14、15
9 根岸、田所 レオロジー(半固形・液状材料、製剤材料の性質) 8、9、10
10 石原、濱野 結晶多形とその確認方法について 11、12、13
11 石原、濱野 結晶多形と固体物性について 11、12、13
12 石原、濱野 医薬品の固体物性と製剤化について 11、12、13
13 根岸、高橋、田所、石原、濱野 総合演習 1-15

アクティブ・ラーニングの取り組み

① 特に、計算問題に関しては理解力が不足がちな領域であり、必要に応じて国家試験問題等を提示し、学生自らがその場で板書して解説を加えたり、また次回までの宿題を課し、理解力の涵養に努めている。
② 各回に空欄部分を設けた補助プリントを配布し、講義を進行しながら、空欄部分を記入させるようにしている。

授業で行っている工夫(思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)

① 適宜、前回の講義内容に関するチェックテストを実施し、理解度の確認・フィードバックを実施している。
② 講義の始めに、学んで欲しい項目およびキーワードを提示している。
③ 講義内に、国家試験を基にした演習問題を行い、特に計算問題の理解を深める工夫を行っている。
④ 物理薬剤学の基礎が、最新の医薬品開発にどのように関連しているかを説明している。

成績評価方法

<試験により評価する>
1)形成的評価
 a)知識: 講義の開始時、10分程度を使い前回の講義の重要な点を復習し理解を深める。配付資料およびWebClassにチェックテストを提示し、知識の到達レベルを確認している。
2)総括評価
 a)知識: 定期試験(100%)により評価する。 再試験を1回実施する。

教科書

最新薬剤学 第11版(井上勝央、尾関哲也編、廣川書店)

参考書

物理薬剤学・製剤学 -計算問題の解法-(唐澤健、坂根稔康編、廣川書店)
わかりやすい物理薬剤学 第5版(辻彰、河島進編、廣川書店)
マーチン フィジカルファーマシー(大塚、瀬崎編、廣川書店)
ベーシック薬学教科書シリーズ 物理化学 第2版(石田寿昌編、化学同人)
製剤への物理化学 第2版(嶋林三郎、斎藤博幸、田中秀治編、廣川書店)
パートナー薬剤学 改訂第3版(原島秀吉、伊藤智夫、寺田勝英編、南江堂)
コンパス物理薬剤学・製剤学 改訂第2版(大塚誠、湯浅宏編、南江堂)

オフィスアワー

根岸 洋一 いつでも可。但し、メールによる予約が必要。
高橋 葉子 いつでも可。但し、メールによる予約が必要。
田所 弘子 いつでも可。但し、メールによる予約が必要。
石原 比呂之 いつでも可。但し、メールによる予約が必要。
濱野 展人 いつでも可。但し、メールによる予約が必要。

所属教室

根岸 洋一 薬物送達学教室 研究1号館3階
高橋 葉子 薬物送達学教室 研究1号館3階
田所 弘子 薬物送達学教室 研究1号館3階
石原 比呂之 創剤科学教室 研究2号館3階
濱野 展人 創剤科学教室 研究2号館3階

準備学習(予習・復習等)

① これまで学んだ「物理化学」関連の内容をよく復習しておくこと。
② 講義内やWebClassを通じ、復習を兼ねて課題を課しますが、必ず自分で解いて、理解を深めること。

学生へのフィードバック

① 学生から寄せられた質問や意見などに対して、必要に応じて講義中に内容と解説をフィードバックさせる等の対応を行っている。
② 理解度チェックテストを随時実施し、結果を学生へフィードバックする。

教員からの一言

薬剤学は薬学部においてのみ唯一開講されている特徴的な講義科目である。応用の学問であり、薬学を修めていくうえで重要な講義内容が多々含まれている。薬物を患者に投与できる形態にするには、薬物の有効性や安全性を高めた製剤とすることが、必要不可欠である。それには物理薬剤学の基礎的理解が重要であり、3年次の薬剤学関連講義である製剤設計学および薬物送達学に密接につながっている。さらには3年次の生物薬剤学(薬物動態制御学)で学ぶ薬物の吸収を理解する基礎となる内容も多く含んでいることから、本講義に興味を持って学習に臨んでほしい。

備考

ナンバリングコード

RE2201

授業計画の見方・注意

①行動目標(内容)

…科目毎に設定された本学独自の行動目標が記載されている。

②行動目標(コアカリとの関連コード)

…本学の行動目標とモデル・コアカリキュラムとの関連をコード化して記載している。
 コードの具体的な内容は、画面右上の「コアカリとの関連コード一覧」をクリックすると確認することができる。

授業計画の見方・注意の見本シラバス

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