薬学部シラバス2024
医療倫理学
Medical Ethics
3年 後期 3年必修科目 1単位 | |
---|---|
櫻井 浩子 |
すべて開く
すべて閉じる
学習目標(GIO)
医療にかかわる薬剤師には薬の知識のみならず、医療という広い観点から患者の置かれている環境・思想・価値観などを俯瞰的に観て考える姿勢が求められている。そのために、本講義では薬剤師に必要不可欠な資質である倫理観を養うことを目標とし、実際に臨床現場で起きているテーマをとおして人々の多様な生き方や価値観を理解し、自分の考えを述べることができるようにする。また、動物のいのちについても取り上げ、生命を尊重する態度を身につける。
行動目標(SBOs)
番号 | 内容 | コアカリとの関連コード |
---|---|---|
1 | 患者・患者家族・生活者が求める医療人について、自らの考えを述べる。 | A-1-1-4 |
2 | 生と死を通して、生きる意味や役割について、自らの考えを述べる。 | A-1-1-5 |
3 | 一人の人間として、自分が生きている意味や役割を問い直し、自らの考えを述べる。 | A-1-1-6 |
4 | 様々な死生観・価値観・信条等を受容することの重要性について、自らの言葉で説明する。 | A-1-1-7 |
5 | 現代社会が抱える課題(少子・超高齢社会等)に対して、薬剤師が果たすべき役割を提案する。 | A-1-2-8 |
6 | 代表的な薬害の例(サリドマイド、スモン、非加熱血液製剤、ソリブジン等)について,その原因と社会的背景及びその後の対応を説明できる。 | A-1-3-6 |
7 | 代表的な薬害について,患者や家族の苦痛を理解し,これらを回避するための手段を討議する。 | A-1-3-7 |
8 | 生命の尊厳について、自らの言葉で説明できる。 | A-2-1-1 |
9 | 生命倫理の諸原則(自律尊重、無危害、善行、正義等)について説明できる。 | A-2-1-2 |
10 | 生と死に関わる倫理的問題について討議し、自らの考えを述べる。 | A-2-1-3 |
11 | 科学技術の進歩、社会情勢の変化に伴う生命観の変遷について概説できる。 | A-2-1-4 |
12 | 医療倫理に関する規範(ジュネーブ宣言等)について概説できる。 | A-2-2-1 |
13 | 薬剤師が遵守すべき倫理規範(薬剤師行動規範等)について説明できる。 | A-2-2-2 |
14 | 医療の進歩に伴う倫理的問題について説明できる。 | A-2-2-3 |
15 | 患者の基本的権利の内容(リスボン宣言等)について説明できる。 | A-2-3-2 |
16 | 患者の自己決定権とインフォームドコンセントの意義について説明できる。 | A-2-3-3 |
17 | 知り得た情報の守秘義務と患者等への情報提供の重要性を理解し、適切な取扱いができる。 | A-2-3-4 |
18 | 臨床研究における倫理規範(ヘルシンキ宣言等)について説明できる。 | A-2-4-1 |
19 | 「ヒトを対象とする研究において遵守すべき倫理指針」について概説できる。 | A-2-4-2 |
20 | 健康被害救済制度について説明できる。 | B-2-2-10 |
21 | 保健、医療、福祉、介護における多職種連携協働及びチーム医療の意義について説明できる。 | A-4-1-1 |
22 | チーム医療に関わる薬剤師、各職種、患者・家族の役割について説明できる。 | A-4-3-1 |
23 | チームワークと情報共有の重要性を理解し、チームの一員としての役割を積極的に果たすように努める。 | A-4-5-1 |
授業内容
回数 | 担当 | 内容 | 対応(SBOs) |
---|---|---|---|
1 | 櫻井 | 医療倫理の基本、生命倫理の四原則、インフォームド・コンセント、規範 | 1~19 |
2 | 〃 | 終末期 その1 終末期医療の概要と倫理的問題 | 2~4、10、21、22 |
3 | 〃 | 終末期 その2 安楽死、尊厳死、自殺ほう助、 終末期鎮静 | 2~4、10 |
4 | 〃 | 脳死、遷延性意識障害 | 2~4、10 |
5 | 〃 | 臓器移植 その1 脳死と臓器移植、子どもの虐待 | 11 |
6 | 〃 | 臓器移植 その2 ドナー家族の思い、医療ツーリズム 臨床倫理の4分割法 |
11、14、23 |
7 | 〃 | 生殖補助医療 | 9、14 |
8 | 〃 | 出生前診断 | 5、6、14 |
9 | 〃 | 新生児医療 | 5 |
10 | 櫻井・山根 | 小児在宅医療 | 1、5 |
11 | 櫻井 | ガイドライン、精神医療、高齢者医療、チーム医療 | 4、13、16、21、22、23 |
12 | PMDA | 薬害の歴史、医薬品副作用被害救済制度 | 16~19 |
13 | 櫻井 | 研究倫理・研究者倫理、動物の倫理 | 6、7、20 |
アクティブ・ラーニングの取り組み
ビデオ視聴や臨床現場での実際を聴く機会を設け、倫理的問題や薬剤師の役割について自分の考えをまとめる。
授業で行っている工夫(思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)
WebClassにて講義資料をダウンロードできるようにし、授業外学習を促す。
ビデオ視聴をとおして具体的にイメージし、より深く考えるようにする。
成績評価方法
<試験により評価する>
総括的評価
a)知識:定期試験(100%)により評価する。なお、出席不良者は受験停止とすることがある。
教科書
毎回の授業でレジュメと資料を配布します。
参考書
「薬学人のための事例で学ぶ倫理学」(2021年、有田悦子・足立智孝編、南江堂、978-4-524-40364-6)
「命は誰のものか」(2021年、香川知晶著、ディスカヴァー・トゥエンティワン、978-4799327296)
「医学的無益性」の生命倫理」(2016年、櫻井浩子編著、山代印刷出版部、978-4990420758)
「安楽死・尊厳死の現在 最終段階の医療と自己決定」(2018年、松田純著、中公新書、978-4121025197)
「長寿時代の医療・ケア エンド・オフ・ライフの論理と倫理」(2019年、会田薫子著、ちくま新書、978-4480072399)
他は講義内で紹介します。
オフィスアワー
櫻井 浩子(生命・医療倫理学研究室・教授) いつでも可。但し、メール(sakurai@toyaku.ac.jp)による予約が必要。
所属教室
櫻井 浩子 生命・医療倫理学研究室 教育3号館1階3102-1
準備学習(予習・復習等)
予習:WebClassにある講義資料を事前に読む。
復習:講義で学んだことについて、さらに自分で調べる。
学生へのフィードバック
講義に対する質問に、個別対応します。また、必要に応じて授業中に全学生に対してその内容を伝え、解説を行います。
教員からの一言
講義では医療倫理を考えるうえでの題材を提供します。日頃から、メディアや新聞などを通じて発信される医療問題やいのちに関する情報に関心を持ち、自らの問題意識を深めるよう心がけてください。
図書館に生命倫理関連図書コーナー「Ethics Matters」が開設されています。こちらも積極的に活用してください。
備考
ナンバリングコード
RB3202