薬学部シラバス2024
生体分子の化学
Bioorganic Chemistry
3年 後期 3年必修科目 1単位 | |
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谷口 敦彦、今野 翔、林 良雄 |
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学習目標(GIO)
医薬品の標的となる生体分子の化学構造と化学的性質に関する基本事項を修得する。特に、糖質、脂質、タンパク質、核酸の主要な生体分子について解説する。また、それらが関わる生体反応を化学の視点から説明できる能力を養う。さらに、その化学的知識を、医薬品の作用を分子レベルで理解することに繋げる。
行動目標(SBOs)
番号 | 内容 | コアカリとの関連コード |
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1 | 代表的な生体高分子を構成する小分子(アミノ酸、糖、脂質、ヌクレオチドなど)の構造に基づく化学的性質を説明できる。 | C4-1-1-1 |
2 | 医薬品の標的となる生体高分子(タンパク質、核酸など)の立体構造とそれを規定する化学結合、相互作用について説明できる。 | C4-1-1-2 |
3 | 代表的な生体分子の代謝反応を有機化学の観点から説明できる。 | C4-2-4-1 |
4 | 生体分子と医薬品との相互作用を化学的観点から説明できる。 | C4-3-1-1 |
5 | 代表的な脂質の化学構造、化学的性質、及びそれらに基づいた生体内機能を説明できる。 | C6-2-1-1 |
6 | 脂肪酸やコレステロールの生合成と代謝について有機反応機構の観点から説明できる。 | C6-5-3-1~2 |
7 | フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸構造などをもつ代表的医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。 | C4-3-4-2 |
8 | 代表的な糖質の化学構造、化学的性質、及びそれらに基づいた生体内機能を説明できる。 | C6-2-2-1~2 |
9 | 解糖系ついて有機反応機構の観点から説明できる。 | C6-5-2-1 |
10 | アミノ酸の化学構造、化学的性質、及びそれらに基づいた生体内機能を説明できる。 | C6-2-3-1 |
11 | アミノ酸の代謝について有機反応機構の観点から説明できる。 | C6-5-5-1 |
12 | タンパク質の構造(一次、二次、三次、四次構造)と性質を化学的観点から説明できる。 | C6-2-4-1 |
13 | ペプチドアナログの代表的医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。 | C4-3-4-6 |
14 | ヌクレオチドと核酸(DNA、RNA)の種類、構造、性質を化学的観点から説明できる。 | C6-2-5-1 |
15 | ヌクレオチドの生合成と分解について有機反応機構の観点から説明できる。 | C6-5-5-2 |
16 | ヌクレオシド及び核酸塩基アナログの代表的医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。 | C4-3-4-1 |
17 | DNAに作用する医薬品を列挙し、それらの構造と作用機序を化学的観点から説明できる。 | C4-3-6-1~3 |
18 | 酵素の反応について、有機反応機構の観点から説明できる。 | C4-2-2-1~3 |
19 | 代表的な補酵素が酵素反応で果たす役割について、有機反応機構の観点から説明できる。 | C4-1-2-2 |
20 | リン化合物(リン酸誘導体など)および硫黄化合物(チオール、ジスルフィド、チオエステルなど)の構造、性質、生体内での機能を化学的観点から説明できる。 | C4-2-1-1~2 |
授業内容
回数 | 担当 | 内容 | 対応(SBOs) |
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1 | 谷口 | 生体分子の化学 概説 | 1〜4 |
2 | 〃 | 脂質の化学 | 5〜7,20 |
3〜7 | 林 | 糖質の化学 | 8,9,20 |
8〜10 | 今野 | アミノ酸、タンパク質の化学 | 10〜13,20 |
11 | 〃 | 酵素、補酵素の化学 | 18,19,20 |
12 | 谷口 | 核酸の化学 | 14〜17,20 |
13 | 〃 | 医薬品の化学 | 4,7,13,16,17,20 |
アクティブ・ラーニングの取り組み
課題を与え、復習による理解の深化を図る。
授業で行っている工夫(思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)
本講義を理解する上で必要な有機化学の復習を含めながら授業を進める。
成績評価方法
<試験により評価する>
1)形成的評価
a) 知識:課題により確認する。
2)総括的評価
a) 知識:定期試験により評価する(100%)。
教科書
・マクマリー有機化学第9版(下)J. McMurry 著(伊東他訳 東京化学同人)
・化学系薬学Ⅱ. 生体分子・医薬品の化学による理解(スタンダード薬学シリーズⅡ3、 日本薬学会編、東京化学同人)
参考書
・薬がわかる構造式集(林、青柳、飯島編 廣川書店)
・ベーシック創薬化学(赤路、津田、林著 化学同人)
オフィスアワー
いつでも可。但し、事前連絡が必要。
所属教室
谷口:薬品化学教室 研究2号館3階306号室
今野:薬品化学教室 研究2号館3階305-4号室
林:創薬化学研究室 研究4号館3階4315号室
準備学習(予習・復習等)
1~3年次の有機化学を十分に復習して講義に望んでください。
学生へのフィードバック
講義や課題に対する質問事項を個々の対応のみならず、学生全体に情報共有を図る。
教員からの一言
クスリを単なる「白い粉」として見るのではなく、その本質である化学構造に基づいて理解するための基礎となる講義です。医薬品は生体分子を標的とし、また多くの医薬品は生体分子と類似した構造を持っています。したがって、生体分子の化学構造やそれに基づく性質を理解することは、医薬品の作用を分子レベルで理解することに繋がります。クスリを楽しく学ぶために、生体分子の化学を習得して下さい。
備考
ナンバリングコード
RC3201