薬学部シラバス2024
薬理学Ⅲ
Pharmacology Ⅲ
3年 前期 3年必修科目 1単位 | |
---|---|
田野中 浩一 丸ノ内 徹郎 |
すべて開く
すべて閉じる
学習目標(GIO)
薬理学 I および II に続いて、循環器、血液系、消化器および呼吸器に作用する薬物について学ぶ。本講義では、これら薬物の細胞内情報伝達系などの分子生物学的な理論に基づく作用機序および有害事象を含む副作用を中心に薬物治療の基盤について習得する。薬剤師の職能に直結する重要な科目であり、機能形態学、生化学および有機化学などの様々な関連科目の広範な知識を駆使して考えるための能力が要求される。
行動目標(SBOs)
番号 | 内容 | コアカリとの関連コード |
---|---|---|
1 | 血管の構造・生理機能および利尿(電解質代謝)を含めた血圧調節について説明できる。 | C7-1-7-2 C7-2-5-1 C7-2-7-1~2 E2-3-4-1 |
2 | 代表的な高血圧症治療薬を挙げ、それらの作用機序および主な副作用に基づいた薬理作用について説明できる。高血圧症の病態生理について解説できる。 | C4-3-7-1 E2-3-1-1,4 E2-3-4-1 |
3 | 代表的利尿薬を挙げ、それらの作用機序および主な副作用に基づいた薬理作用について説明できる。利尿による降圧作用に加え、浮腫の治療についても解説できる。 | C7-2-7-1~2 E2-3-1-4 E2-3-3-1 E2-3-4-1 |
4 | 心臓の構造および生理機能について説明できる。薬物の作用点としての受容体を介した細胞内情報伝達系を構成する酵素への作用を理解し、心収縮運動の機序とその制御について説明できる。 | C7-1-7-1~3 |
5 | 代表的な虚血性心疾患治療薬を挙げ、それらの作用機序および主な副作用に基づいた薬理作用について説明できる。狭心症および心筋梗塞の病態生理について解説ができる。 | E2-3-1-3 E2-3-4-1 |
6 | 代表的な心不全治療薬(強心薬を含む)を挙げ、それらの作用機序および主な副作用に基づいた薬理作用について説明できる。急性および慢性心不全の病態生理について解説できる。 | E2-3-1-2 E2-3-4-1 |
7 | 代表的な抗不整脈薬を挙げ、それらの作用機序および主な副作用に基づいた薬理作用について説明できる。上室性および心室性不整脈の病態生理について解説できる。 | E2-3-1-1 E2-3-4-1 |
8 | 血小板凝集の機序について説明できる。末梢循環障害に及ぼす血小板凝集の病態生理学的役割について解説できる。 | C7-1-14-1 C7-2-9-1 |
9 | 代表的な抗血小板薬および血管拡張薬を挙げ、それらの作用機序および主な副作用に基づいた薬理作用について説明できる。末梢循環障害の病態生理およびその薬物治療の戦略について解説できる。 | E2-3-2-2 |
10 | 血液凝固および線溶系の機序および病態生理学的意義について解説できる。 | C7-1-14-1 C7-2-9-1 E2-3-2-2 |
11 | 代表的な抗凝固薬を挙げ、それらの作用機序および主な副作用に基づいた薬理作用について説明できる。血液凝固系亢進による疾患の病態生理について解説できる。 | C7-1-14-1 C7-2-9-1 E2-3-2-2,4 |
12 | 代表的血栓溶解薬を挙げ、それらの作用機序および主な副作用に基づいた薬理作用について説明できる。再灌流障害の病態生理およびそれに伴う有害事象について解説できる。 | C7-1-14-1 C7-2-9-1 E2-3-2-2,4 |
13 | 代表的な止血薬を挙げ、それらの作用機序および主な副作用に基づいた薬理作用について説明できる。 | C7-1-14-1 C7-2-9-1 E2-3-2-1 |
14 | 血球分化およびそれに関与する血球分化促進因子を挙げ、その機能について説明できる。貧血、白血球減少症および血小板減少症の病因および特徴について簡潔に解説できる。 | C7-1-14-1 E2-3-2-3 |
15 | 代表的な貧血治療薬を挙げ、それらの作用機序および主な副作用に基づいた薬理作用について説明できる。貧血の病態に応じた治療薬の選択を解説できる。 | E2-3-2-3 |
16 | 代表的な白血球減少症および血小板減少症への治療薬を挙げ、それらの作用機序および主な副作用に基づいた薬理作用について説明できる。 | E2-3-2-5 |
17 | 炎症の経過について説明できる。 | E2-2-1-2~3 |
18 | 代表的な非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) を挙げ、作用機序を基にした適用および薬理作用および有害事象を含めた副作用について説明できる。 | E2-2-1-1 |
19 | 代表的な副腎皮質ステロイド薬(ステロイド性抗炎症薬)を挙げ、作用機序を基にした適用および薬理作用に加え、有害事象を含めた副作用について説明できる。 | E2-2-1-1 |
20 | 消化管の構造、機能、神経支配、ホルモンの作用、オータコイドの作用及び主要な疾患の主症状と病態を説明できる。 | C7-1-9-1~2 |
21 | 代表的な消化薬、胃機能調整薬を挙げ、作用機序を基にした適用および薬理作用に加え、有害事象を含めた副作用について説明できる。 | E2-4-2-6 E2-4-3-1 |
22 | 上部および下部消化管潰瘍に対する代表的治療薬を挙げ、作用機序を基にした適用および薬理作用に加え、有害事象を含めた副作用について説明できる。 | E2-4-2-1~2,6 E2-4-3-1 |
23 | 代表的な制吐薬、催吐薬を挙げ、作用機序を基にした適用および薬理作用に加え、有害事象を含めた副作用について説明できる。 | E2-4-2-8 E2-4-3-1 |
24 | 代表的な瀉下薬、止瀉薬を挙げ、作用機序を基にした適用および薬理作用に加え、有害事象を含めた副作用について説明できる。 | E2-4-2-7 E2-4-3-1 |
25 | 代表的な肝臓疾患治療薬を挙げ、作用機序を基にした適用および薬理作用に加え、有害事象を含めた副作用について説明できる。 | E2-4-2-3,5 E2-4-3-1 |
26 | 代表的な膵臓疾患治療薬を挙げ、作用機序を基にした適用および薬理作用に加え、有害事象を含めた副作用について説明できる。 | E2-4-2-4 E2-4-3-1 |
27 | 呼吸器の構造およびその機能について説明できる。呼吸に伴う反射反応について説明できる。代表的な呼吸興奮薬、鎮咳薬、去痰薬を挙げ、作用機序および適用を説明できる。薬物の作用機序を基に、症状に応じた治療薬の選択について解説できる。 | C7-1-8-1 E2-4-1-4 |
28 | 代表的な気管支喘息治療薬および慢性閉塞性肺疾患治療薬を挙げ、作用機序および副作用について説明できる。これらの病因・病態および薬物治療の基本的な戦略について解説できる。 | E2-4-1-1~2 |
29 | 代表的な間質性肺炎および肺線維症の治療薬を挙げ、作用機序および副作用について説明できる。これらの病因・病態および薬物治療の基本的な戦略について解説できる。 | E2-4-1-3 |
授業内容
回数 | 担当 | 内容 | 対応(SBOs) |
---|---|---|---|
1 | 丸ノ内 | 高血圧症治療薬 1 | 1、2 |
2 | 〃 | 高血圧症治療薬 2 | 1、2 |
3 | 〃 | 利尿薬 | 1、3 |
4 | 〃 | 虚血性心疾患治療薬 | 4、5 |
5 | 〃 | 心不全治療薬 | 4、6 |
6 | 〃 | 抗不整脈薬 | 4、7 |
7 | 田野中 | 末梢循環障害治療薬 | 1、8 |
8 | 〃 | 肺高血圧症治療薬、血液に作用する薬物 1 | 9、10、11 |
9 | 〃 | 血液に作用する薬物 2 | 12、13 |
10 | 〃 | 造血系に作用する薬物 | 14、15、16 |
11 | 〃 | 抗炎症薬 | 17、18、19 |
12 | 〃 | 消化器系に作用する薬物 1 | 20、21、22、23 |
13 | 〃 | 消化器系に作用する薬物 2 | 24、25、26 |
14 | 〃 | 呼吸器に作用する薬物 1 | 27、28 |
15 | 〃 | 呼吸器に作用する薬物 2 | 28、29 |
アクティブ・ラーニングの取り組み
講義中に薬理学だけではなく、関連科目の復習事項を提示し、発展的な学習に取り組むように指示している。講義資料を活用し、関連科目で履修した内容を把握するように指導している。
授業で行っている工夫(思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)
・ 講義資料を予め提示し、学生に次回の講義に関する予習を行えるように配慮している。講義、参考書および講義資料から、学んだことをノートに纏め、各学生の独自のテキストが作成できるように指導する。
・ 学生の理解度に応じて、補講を入れる。
成績評価方法
<試験により評価する>
1) 形成的評価
a) 知識: 講義内で薬理学で履修した項目だけでなく、その他の関連科目に関する質問を行う。学生が、知識の整理と補充に取り組むようにする。
2) 総括的評価
a) 知識: 定期試験で評価する (100%)。不合格者には再試験を1回実施する。なお、追試験者への再試験は実施しない。
出席不良の学生には単位認定を行わない。受講者には全出席を要求するが、已むを得ず欠席した場合には、欠席届に欠席理由を証明する書類を添付したものを1週間以内に提出する(入院などの長期欠席の場合は、復学後1週間以内)。不備がある場合には欠席届を受理しない。
教科書
薬系薬理学書 (南江堂)
参考書
ガイドラインで理解する疾病と薬物治療 代謝疾患 (オーム社)978-4-274-21424-0
標準薬理学(医学書院)978-4-260-04163-8
グラフィカル 機能形態学 (京都廣川書店)978-4-909197-68-9
薬理学実習の実際とデータの見方 (南山堂)978-4-525-72291-3
薬名[語源]事典(武蔵野大学出版会)978-4-903281-46-9 C3047
オフィスアワー
田野中および丸ノ内 14:00~18:00 (なお、薬理学実習期間中は、18:30~20:00)
分子細胞病態薬理学教室にて対応します。課題研究指導および学務に関連する業務があるため、時間を調整する必要があります。そのため、来室する際には、予め連絡を入れるてください。なお、連絡無しの対応は行いません。定期試験直前の質問は受け付けないので、講義後の復習を必ず行い、オフィスアワーを利用して、不明な点についての学習を進めてください。
所属教室
分子細胞病態薬理学教室 研究4号館5階
準備学習(予習・復習等)
講義用資料を配布しているので、講義前に各自講義範囲の確認を行うように指示している。講義後の復習の方が、予習よりも重要である。講義資料を基に、機能形態学、生化学および有機化学を中心に関連する科目についても、その都度復習を行うように指導する。
学生へのフィードバック
・ 講義内での質疑応答およびオフィスアワーでフィードバックを行う。
・ 定期試験(本試験)終了後に、不合格者へのフィードバック講義を実施する。フィードバック講義については、本試験合格者でも積極的に学習に取り組む者には聴講を認める。なお、再試験受験者への試験内容の提示は行わない。
・ 学生への講義期間中のフィードバックが必要と判断した場合、適宜、補講を行うこととする。
教員からの一言
・ 本講義では非常に多くの薬物が登場し、それらは臨床で用いられているものです。実務実習では、講義で履修した薬物に必ず接することになります。薬剤師は、薬物に関する説明ができないということは許されません。真摯な態度での学習を求めます。
・ 配布資料は、指定テキストの薬系薬学書と併せて使用してください。テキストで解説のために用いられている図表を必ず復習で活用してください。薬物の作用機序および治療に用いられる根拠を理解するのに役立ちます。
・ 薬理学は暗記科目ではありません。本講義では、学生諸氏に薬物の作用機序だけでなく、有害事象を含めた副作用およびそれらを勘案した臨床用途について総合的に考える能力を身に着けることを要求します。各講義での情報量が多いので、必ず講義後の復習を実践してください。特に、疾病と薬物治療の基礎になるものです。当該科目での病態への理解に役立つので、併せて学習してください。
備考
・ 毎回出席を取ります。出席回数が、全講義回数の 2/3 に達しない場合は、原則として定期試験の受験資格を与えない。
・ 欠席した場合には、当該講義日から1週間以内に、欠席する事由が生じたことを証明するものを添付した欠席届を提出しなければいけない。期間外の提出は受理しない。原則として遅刻を認めないので、欠席扱いとする。
・ 薬理学は暗記科目ではありません。本講義では、薬物の作用機序だけでなく、有害事象を含めた副作用およびそれらを勘案した臨床用途について総合的に考える能力を身に着けることを要求します。各講義での情報量が多いので、必ず講義後の復習を実践してください。特に、疾病と薬物治療の基礎になるものです。当該科目での病態への理解に役立つものなので、併せて学習してください。
ナンバリングコード
RE3103