薬学部シラバス2024
医薬情報Ⅱ
Pharmaceutical Information Ⅱ
3年 後期 3年必修科目 1単位 | |
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片桐 文彦 川口 崇(取り纏め) |
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学習目標(GIO)
薬物治療に必要な情報を医療チームおよび患者に提供したり、薬物投与設計を立案したり、臨床上の問題解決ができるようになるために、医薬品情報ならびに患者情報の収集・評価・加工に加え、臨床研究デザイン、薬効解析などに関する基本的知識を修得し、それらを活用するための基本的事項を身につける。具体的には、医薬品情報の薬学的評価、EBM の実践、生物統計、臨床研究デザイン、薬効解析に関する基本的事項を修得する。また、これらの情報解析に基づいて、臨床および医薬品開発における薬物治療の最適化を評価するための基本的事項を修得する。
行動目標(SBOs)
番号 | 内容 | コアカリとの関連コード |
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1 | 臨床研究(治験を含む)の代表的な手法(介入研究、観察研究)を列挙し、それらの特徴を概説できる。 | E3-1-6-1 |
2 | 臨床研究におけるバイアス・交絡について概説できる。 | E3-1-6-2 |
3 | 観察研究での主な疫学研究デザイン(症例報告、症例集積、コホート研究、ケースコントロール研究、ネステッドケースコントロール研究、ケースコホート研究など)について概説できる。 | E3-1-6-3 |
4 | 副作用の因果関係を評価するための方法(副作用判定アルゴリズムなど)について概説できる。 | E3-1-6-4 |
5 | 優越性試験と非劣性試験の違いについて説明できる。 | E3-1-6-5 |
6 | 介入研究の計画上の技法(症例数設定、ランダム化、盲検化など)について概説できる。 | E3-1-6-6 |
7 | 統計解析時の注意点について概説できる。 | E3-1-6-7 |
8 | 介入研究の効果指標(真のエンドポイントと代用のエンドポイント、主要エンドポイントと副次的エンドポイント)の違いを、例を挙げて説明できる。 | E3-1-6-8 |
9 | 臨床研究の結果(有効性、安全性)の主なパラメータ(相対リスク、相対リスク減少、絶対リスク、絶対リスク減少、治療必要数、オッズ比、発生率、発生割合)を説明し、計算できる。 | E3-1-6-9 |
10 | 基本的な統計量(平均値、中央値、標準偏差、標準誤差、信頼区間など)を説明できる。 | E3-1-5-1 |
11 | 帰無仮説の概念および検定と推定の違いを説明できる。 | E3-1-5-2 |
12 | 代表的な分布(正規分布、t分布、二項分布、ポアソン分布、χ2 分布、F 分布)について概説できる。 | E3-1-5-3 |
13 | 主なパラメトリック検定とノンパラメトリック検定を列挙し、それらの使い分けを説明できる。 | E3-1-5-4 |
14 | 主な回帰分析(直線回帰、ロジスティック回帰など)と相関係数の検定について概説できる。 | E3-1-5-6 |
15 | 基本的な生存時間解析法(カプラン・マイヤー曲線など)について概説できる。 | E3-1-5-7 |
16 | EBM の基本概念と実践のプロセスについて説明できる。 | E3-1-4-1 |
17 | 代表的な臨床研究法(ランダム化比較試験、コホート研究、ケースコントロール研究など)の長所と短所を挙げ、それらのエビデンスレベルについて概説できる。 | E3-1-4-2 |
18 | 臨床研究論文の批判的吟味に必要な基本的項目を列挙し、内的妥当性(研究結果の正確度や再現性)と外的妥当性(研究結果の一般化の可能性)について概説できる。 | E3-1-4-3 |
19 | メタアナリシスの概念を理解し、結果を説明できる。 | E3-1-4-4 |
20 | 医薬品情報にもとづいて、代表的な同種同効薬の有効性や安全性について比較・評価できる。 | E3-1-7-2 |
21 | 個別の患者情報(遺伝的素因、年齢的要因、臓器機能など)と医薬品情報をもとに、薬物治療を計画・立案できる。 | E3-3-5-1 |
22 | 代表的な疾患の症例について、患者情報および医薬品情報などの情報に基づいて薬物治療の最適化を評価できる。 | E2-11-1-1 |
授業内容
回数 | 担当 | 内容 | 対応(SBOs) |
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1 | 片桐 | 臨床研究の種類とデザイン(1) | 1~8、17、19 |
2 | 〃 | 臨床研究の種類とデザイン(2) | 1~8、17、19 |
3 | 〃 | 臨床研究の結果を表すパラメータ | 9 |
4 | 〃 | 臨床成績を読むための生物統計(1) | 10~15 |
5 | 〃 | 臨床成績を読むための生物統計(2) | 10~15 |
6 | 〃 | 臨床成績を読むための生物統計(3) | 10~15 |
7 | 〃 | 臨床成績を読むための生物統計(4) | 10~15 |
8 | 〃 | EBM | 16~18 |
9 | 〃 | 医薬品情報の評価(1) | 20~22 |
10 | 〃 | 医薬品情報の評価(2) | 20~22 |
11 | 〃 | 薬物投与設計の理論(1) | 20~22 |
12 | 〃 | 薬物投与設計の理論(2) | 20~22 |
13 | 〃 | 医薬品の比較・評価 | 20~22 |
アクティブ・ラーニングの取り組み
適宜補助資料を使用し、講義の進行とともにポイントを記入させる。
授業で行っている工夫(思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)
各回において修得すべきSBOを提示し目標を明確にする。
講義では、教科書のみならず必要に応じて補助資料を使用し、理解を得やすくする。
重要なポイントは強調し、教科書等への書き込みを薦める。
成績評価方法
<試験により評価する>
1) 形成的評価
a) 知識: 課題、演習問題を行う。
2) 総括的評価
a) 知識: 定期試験により評価する(100%)。
教科書
理論医薬品情報学 第2版(山田安彦、高柳理早 編著) 京都廣川書店 2023年(978-4-910844-13-8)
参考書
特に指定しない。
オフィスアワー
原則いつでも可。但し、メールによる事前予約が必要。
所属教室
片桐 文彦 臨床薬効解析学教室 研究4号館5階4512
準備学習(予習・復習等)
講義を受ける前に講義予定の項目を確認し、教科書の該当範囲を読んでから講義に臨む。
教科書や配布資料等を活用し、講義後の復習を必ず行う。
学生へのフィードバック
課題や演習問題の解説を通じてフィードバックする。
教員からの一言
適切な薬物治療を行うためには、医薬品情報と患者情報を統合して検討し、薬学的な観点で評価することが不可欠です。前期の医薬情報Ⅰの講義に引き続き、医薬品の臨床効果の評価や比較を行うために必要な方法論を理解し実践するための基本的事項を学びます。
備考
実務家教員担当科目
ナンバリングコード
RE3207