薬学部シラバス2024
アドバンス有機化学
Advanced Organic Chemistry
3年 後期 (選択)専門科目Ⅰ 1単位 | |
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古石 裕治 |
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学習目標(GIO)
複素環はヘテロ環ともいわれ、N,O,S 原子などのヘテロ原子を含む多様な環構造が存在しており、それぞれが特徴ある化学的性質を示します。複素環化合物の多くは天然物や生体関連物質としても存在し、有効な生物活性を有するものは医薬品や農薬として重要な役割を果たしています。本科目では、医薬品に含まれる代表的な複素環を中心として、構造化学的分類、化学的性質、反応性、等について学習します。また、酵素や補酵素の反応部位における複素環の役割は重要です。「アドバンスト」的な内容として、生体内で機能する複素環として代表例をいくつか取り上げ、医薬品の代謝活性化機構、酵素の触媒機構を有機化学で学んだ反応機構を用いて学習します。
行動目標(SBOs)
番号 | 内容 | コアカリとの関連コード |
---|---|---|
1 | 共役や共鳴の概念を説明できる。 | C1-1-1-3 |
2 | 薬学領域で用いられる代表的な化合物を慣用名で記述できる。 | C3-1-1-2 |
3 | 有機化合物の性質と共鳴の関係について説明できる。 | C3-1-1-4 |
4 | 基本的な有機反応機構を、電子の動きを示す矢印を用いて表すことができる。 | C3-1-1-9 |
5 | 代表的な芳香族複素環化合物の性質を芳香族性と関連づけて説明できる。 | C3-2-3-4 |
6 | 代表的な芳香族複素環の求電子置換反応の反応性、配向性、置換基の効果について説明できる。 | C3-2-3-4~5 |
7 | アミン類の基本的性質と反応を列挙し、説明できる。 | C3-3-5-1 |
8 | 官能基が及ぼす電子効果について概説できる。 | C3-3-6-1 |
9 | 含窒素化合物の塩基性度を比較して説明できる | C3-3-7-2 |
10 | 医薬品の標的となる生体高分子(タンパク質、核酸など)の立体構造とそれを規定する化学結合、相互作用について説明できる。 。 | C4-1-1-2 |
11 | 医薬品に含まれる代表的な複素環を構造に基づいて分類し、医薬品コンポーネントとしての性質を説明できる。 | C4-3-3-3 |
12 | β-ラクタム構造をもつ代表的医薬品を列挙し、化学構造に基づく性質について説明できる。 | C4-3-4-5 |
13 | DNAと結合する医薬品(アルキル化剤、シスプラチン類)を列挙し、それらの化学構造と反応機構を説明できる。 | C4-3-6-1 |
14 | 代表的な補酵素が酵素反応で果たす役割について、有機反応機構の観点から説明できる。 | C4-1-2-2 |
授業内容
回数 | 担当 | 内容 | 対応(SBOs) |
---|---|---|---|
1 | 古石 | 複素環と医薬品 | 2、11 |
2 | 〃 | 複素環化合物の構造と性質:複素環化合物の酸性度 | 1、3、5 |
3 | 〃 | 窒素塩基(アミン類)の塩基性度 | 1、7、9 |
4 | 〃 | 複素環化合物の構造と性質:複素環化合物の塩基性度 | 1、3、7、9 |
5 | 〃 | 芳香族複素環化合物の電子構造と性質1:π電子過剰系 | 1、3,4、5、6、8 |
6 | 〃 | 芳香族複素環化合物の電子構造と性質2:π電子不足系 | 1、3、4、5、6、8 |
7 | 〃 | 芳香族複素環化合物の電子構造と性質3:求電子置換反応 | 1、3、4、5、6、8 |
8 | 〃 | 芳香族複素環化合物の電子構造と性質4:芳香族求核置換反応 | 1、3、4、5、6、8 |
9 | 〃 | 生体内で機能する複素環1:核酸塩基に対するアルキル化剤 | 10、11、13 |
10 | 〃 | 生体内で機能する複素環2:β-ラクタム系抗生物質 | 10、12 |
11 | 〃 | 生体内で機能する複素環3:医薬品の代謝活性化機構 | 10、11 |
12 | 〃 | 生体内で機能する複素環4:プロテーアーゼの触媒機構 | 10、11 |
13 | 〃 | アミノ酸代謝における複素環化合物の役割 | 14 |
14 | 〃 | 総合演習 | 1~14 |
アクティブ・ラーニングの取り組み
理解度の自己確認のために、演習問題を課します。
授業で行っている工夫(思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)
あらかじめ重要なキーワードを提示し、学習目標を明確に伝えます。授業は資料プリントを用いて、板書・プロジェクターで行い、反応式・反応機構等が正確に記述できるように指導します。
成績評価方法
<試験・レポートにより評価する>
1)形成的評価
a)知識:演習問題を課して、学生自身が自分の理解度を確認できるように促します。
2)総括的評価
a)知識:レポート(100%)により評価します。
教科書
講義プリントを配布します。
参考書
マクマリー有機化学(上、中、下)(J. McMurry著 伊東ら訳 東京化学同人)
ヘテロ環の化学 -基礎と応用- (John A. Joule・Keith Mills 著 中川昌子・有澤光弘 訳 東京化学同人)
ヴォート生化学(上、下)(D. Voet、J. G. Voet 著 田宮ら訳 東京化学同人)
現場で役に立つ!臨床医薬品化学(臨床医薬品化学研究会 編、化学同人)
オフィスアワー
原則として、いつでも可能です。
所属教室
古石 裕治( 薬学教育推進センター)
準備学習(予習・復習等)
本科目の履修に際しては、授業前には3年前期までに学んだ「有機化学」「生化学」を予習し、授業後には演習問題を解いて復習することを勧めます。
学生へのフィードバック
授業各回において、前回の授業内容のポイントを再度伝えて確認し、質疑応答を通してフィードバックを行います。
教員からの一言
生体内での分子の動向をおおまかに理解することができれば、医薬品の薬理作用機序・薬物や化学物質の代謝活性化および不活性化などの部分に応用することができます。この目標を達成するために、この授業で扱う有機化学の反応機構(電子の動きを矢印で表す)がほぼ同じであることが理解できれば合格です。是非、チャレンジしてみてください。
備考
ナンバリングコード
EH3204