薬学部シラバス2024
薬物動態学
Pharmacokinetics
4年 前期 4年必修科目 1単位 | |
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井上 勝央(取り纏め)、降幡 知巳、柴崎 浩美、横川 彰朋、岸本 久直、樋口 慧、森尾 花恵(全学科) |
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学習目標(GIO)
最適な薬物治療を行うためには、物理化学的特性や患者背景に基づいた薬物の体内動態を理解し、個々の患者に適した医薬品の選択や用法・用量の設定を行わなければならない。本講義では、個々の患者に適した処方や投与設計を提案できるようなるために、これまでに修得した薬物の体内動態ならびに個別化薬物治療に関する基本的知識を基盤として、体内動態の定量的解析・予測ならびに数式モデルによる投与設計を行うための知識を修得する。また、薬物相互作用の機序とその薬物治療上の意義を理解し、マネジメントできる知識を身に着ける。さらに、治療薬物モニタリング(TDM)の意義を理解し、TDMが有効な薬物における患者ごとの投与設計法を習得し、それらを活用するための基本的事項を身につける。
行動目標(SBOs)
番号 | 内容 | コアカリとの関連コード |
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1 | 薬物動態に関わる代表的なパラメーターを列挙し、概説できる。 | E4-2-1-1 |
2 | 線形コンパートメントモデルを説明し、これに基づいた計算ができる。 | E4-2-1-2 |
3 | 薬物動態学的パラメーター(生物学的半減期、組織クリアランス、固有クリアランス、全身クリアランス)について説明し、計算できる。 | E4-2-1-1,5 |
4 | 生物学的半減期を用いて、血中薬物濃度の時間推移を予測することができる。 | E4-2-1-1~2 |
5 | 薬物動態学的パラメーターの数値を用いて、吸収、分布、代謝および排泄に関わる薬物の体内動態特性を説明できる。 | E4-2-1-1~2,5 |
6 | 薬物動態学的パラメーターが変動したときの薬物の体内動態の変化を説明できる。 | E4-2-1-1~2,5 |
7 | 薬物動態学的パラメーターに基づいて薬物の生物学的利用能やその変動要因を説明できる。 | E4-2-1-1~2,5 |
8 | モデルによらない薬物動態の解析法を列挙し、説明できる。 | E4-2-1-4 |
9 | 肝代謝により非線形性を示す薬物の体内動態について、薬物動態学的パラメーターを用いて説明できる。 | E4-2-1-3 |
10 | 至適血中濃度を維持するための投与計画について薬物動態学的パラメーターを用いて説明できる。 | E4-2-2-3 |
11 | 代表的な薬物相互作用と投与計画について説明できる。 | E4-1-2-4 E4-1-3-6 E4-1-4-5 E4-1-5-5 |
12 | 疾患時 (合併症) における薬物の投与計画について説明できる。 | E3-3-3-1~3 |
13 | 年齢的要因:高齢者、小児における薬物投与法の注意点について、例をあげて説明できる。 | E3-3-2-1~2 |
14 | 生理学的要因:妊婦、授乳婦における薬物投与法の注意点について、例をあげて説明できる。 | E3-3-4-1~3 |
15 | ポピュレーションファーマコキネティクスに基づく投与法と応用例について説明できる。 | E4-2-2-4 |
16 | 治療薬物モニタリング(TDM)の意義を説明できる。 | E4-2-2-1 |
17 | 血液試料の採取法と薬物の血中濃度測定法を説明できる。 | E4-2-2-2 |
18 | TDMが必要とされる代表的な薬物の投与計画について説明できる。 | E4-2-2-3 |
授業内容
回数 | 担当 | 内容 | 対応(SBOs) |
---|---|---|---|
1 | 井上 | モデル非依存性の薬物動態の解析 | 1、8 |
2 | 〃 | コンパートメントモデルによる薬物動態の解析 | 1、2、4 |
3 | 〃 | クリアランス理論に基づく薬物動態の解析 | 1、3 |
4 | 〃 | 薬物動態パラメータを用いた体内動態予測1:分布性、腎クリアランス | 3、5、6、7 |
5 | 岸本 | 薬物動態パラメータを用いた体内動態予測2:生物学的利用能(バイオアベイラビリティ) | 3、4、6、7 |
6 | 樋口 | 薬物速度論に関する基礎演習 | 1、2、3、4、5、6、7、8 |
7 | 柴崎 | 投与計画 1:定速静注、反復投与、定常状態における投与設計と血中濃度予測ならびに疾患時における投与計画 | 10、12 |
8 | 〃 | 投与計画 2:高齢者、小児、妊婦、授乳婦における薬物投与の個別化 | 13、14 |
9 | 森尾 | TDMの実際 1:TDMの意義、対象薬物、測定法と採血および試料の取り扱い | 16、17 |
10 | 横川 | TDMの実際 2:ポピュレーションファーマコキネティクスに基づく投与法 | 15 |
11 | 〃 | TDMの実際 3:抗てんかん薬、喘息治療薬、抗生物質、免疫抑制薬等のTDM | 9、18 |
12 | 降幡 | 投与計画 3:薬物相互作用 (吸収、分布、排泄過程) を考慮した投与設計 | 11 |
13 | 〃 | 投与計画 4:薬物相互作用 (代謝過程) を考慮した投与設計 | 11 |
アクティブ・ラーニングの取り組み
授業内容に関する学生の理解を確認するために、授業中に確認問題や演習問題を取り入れている。
授業で行っている工夫(思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)
成績評価方法
<試験により評価する>
1) 形成的評価
a) 知識: 演習問題、小テストにより評価する
2) 総括的評価
a) 知識: 定期試験 (100%) により評価する。
教科書
講義回数1〜6: 最新薬剤学 第11版(尾関哲也、井上勝央 編著、廣川書店)ISBN: 978-4567480277
講義回数7〜13: テーラーメイド医療 -薬物治療の個別化- 第2版(古田、柴崎、横川 著、京都廣川書店)
参考書
講義回数1〜6: 生物薬剤学 改訂第4版(谷川原祐介、井上勝央 編集、南江堂、ISBN: 978-4-524-40381-3)
講義回数7〜13: 臨床薬物動態学 改訂第5版(加藤隆一 監修、家入一郎/楠原洋之 編集、南江堂、ISBN: 978-4-524-25758-4)
オフィスアワー
在室中はいつでも可(ただし、メールにてあらかじめ予約して下さい)
所属教室
井上、岸本、樋口 薬物動態制御学教室 研究1号館3階 301
降幡 個別化薬物治療学教室 医療薬学研究棟2階
柴崎、横川、森尾 個別化薬物治療学教室 医療薬学研究棟1階
準備学習(予習・復習等)
予習:講義内容について、事前に教科書を読み,問題点、疑問点を抽出しておくこと。
復習:講義内容に関する初回の授業で配布する練習問題あるいは教科書に掲載した確認問題、例題、課題を行うこと。
予習と復習を各々70分以上行うこと。
学生へのフィードバック
配布資料の演習問題や教科書の確認問題等のうち、間違えやすい問題に関して、講義内で解説を行う。
教員からの一言
講義内容の理解のために、教科書に掲載した各項のまとめを復習と知識の定着に利用して下さい。
備考
ナンバリングコード
RE4101