薬学部シラバス2024
専門薬剤師総論
Introduction of Board Certified Pharmacy Specialist
5年 前期 (選択)専門科目Ⅱ 1単位 | |
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下枝 貞彦、杉浦 宗敏、平田 尚人、畔蒜 祐一郎 |
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学習目標(GIO)
臨床現場に関わる薬剤師は、患者に安全・最適な薬物療法を提供するために、正確な患者情報の収集を基本とし、病状を正しく評価し、適切な医薬品情報を基に、個々の患者に応じた薬物療法を提案・実施・再検証できる能力が求められる。さらに近年では医療チームの一員として、特に薬剤師は、医薬品のリスク回避を目的に、有害事象(副作用、相互作用)、薬害、薬物乱用に関しても精通することが求められている。
そこで本講義では、患者情報に応じた薬の選択、用法・用量の設定、医薬品情報・安全性ならびに治療ガイドラインを考慮した適正な薬物療法を提示するために、患者情報を解析し、具体的症例を交えながらながら最適な薬物治療を実践するための薬学的アプローチを伝授する。
将来、専門薬剤師を目指す学生にとって本講義は、その基礎となる薬学的アプローチの考え方を理解し、専門領域に特化するための準備学習となる。
行動目標(SBOs)
番号 | 内容 | コアカリとの関連コード |
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1 | 代表的な疾患における薬物治療、食事療法、その他の非薬物治療(外科手術など)の位置づけを説明できる。 | E1-3-1-1 |
2 | 薬物治療の効果、副作用の発現、薬物血中濃度等に基づき、医師に対し、薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更を提案できる。 | F-3-4-10 |
3 | 高血圧症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-3-1-4 |
4 | 不整脈および関連疾患について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-3-1-1 |
5 | 気管支喘息について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-4-1-1 |
6 | 鎮咳薬、去痰薬、呼吸興奮薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。 | E2-4-1-4 |
7 | アトピー性皮膚炎について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-6-3-1 |
8 | 糖尿病とその合併症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-5-1-1 |
9 | 泌尿器系疾患について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-3-3-5 |
10 | 脂質異常症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-5-1-2 |
11 | 統合失調症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-1-3-4 |
12 | 片頭痛について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)について説明できる。 | E2-1-3-11 |
13 | 関節リウマチについて、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-2-3-1 |
14 | 骨粗鬆症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-2-3-2 |
15 | 呼吸器感染症について、病態(病態生理、症状等)、感染経路と予防方法および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-7-3-1 |
16 | 感染性心内膜炎、胸膜炎について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-7-3-8 |
17 | 尿路感染症について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-7-3-4 |
18 | ウイルス性肝炎(HAV、HBV、HCV)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、感染経路と予防方法および病態(病態生理(急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん)、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる | E2-7-4-4 |
19 | 抗悪性腫瘍薬の主な副作用(下痢、悪心・嘔吐、白血球減少、皮膚障害(手足症候群を含む)、血小板減少等)の軽減のための対処法を説明できる。 | E2-7-8-3 |
20 | 代表的ながん化学療法のレジメン(FOLFOX 等)について、構成薬物およびその役割、副作用、対象疾患を概説できる。 | E2-7-8-4 |
21 | 肺癌について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-7-8-9 |
22 | 消化器系の悪性腫瘍について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-7-8-8 |
23 | 乳癌について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-7-8-13 |
24 | 生殖器の悪性腫瘍について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-7-8-11 |
25 | 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-3-1-3 |
26 | 抗血栓薬、抗凝固薬および血栓溶解薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。 | E2-3-2-2 |
27 | 急性および慢性心不全について、病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 | E2-3-1-2 |
授業内容
回数 | 担当 | 内容 | 対応(SBOs) |
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1 | 平田 | 処方解析学とは 薬剤師の処方解析と処方設計 循環器疾患:高血圧症、虚血性心疾患 |
1,2,3,25 |
2 | 〃 | 循環器疾患:高血圧症、虚血性心疾患 | 3,25 |
3 | 〃 | 循環器疾患;不整脈、心房細動、抗血栓治療 | 4,26 |
4 | 〃 | 循環器疾患;不整脈、心房細動、抗血栓治療 | 4,26 |
5 | 〃 | 循環器疾患;心不全(急性・慢性)、感染性心内膜炎 | 16,27 |
6 | 〃 | 循環器疾患;心不全(急性・慢性)、感染性心内膜炎 | 16,27 |
7 | 畔蒜 | アトピー性皮膚炎 呼吸器疾患:労作時呼吸苦、喘鳴、気管支喘息、発熱、咳、全身倦怠感、結核、非結核性抗酸菌症 |
5,6,7,15 |
8 | 〃 | 感染症:市中肺炎(CAP)、医療・介護関連肺炎(NHCAP)、院内肺炎(HAP)、非定型肺炎、誤嚥性肺炎、間質性肺炎 | 15 |
9 | 〃 | 感染症:院内感染、手術部位感染(SSI)、カテーテル関連血流感染(CRBSI) | 16 |
10 | 杉浦 | 腎・泌尿器疾患:糖尿病腎症、腎・尿管結石 | 8,9,10 |
11 | 〃 | 代謝性疾患:糖尿病・脂質代謝異常 | 11,12 |
12 | 〃 | 精神・神経疾患:統合失調症、頭痛 骨・関節疾患:関節リウマチ、骨粗鬆症 |
13,14 |
13 | 下枝 | 感染症:尿路感染炎、C型肝炎 | 17、18 |
14 | 〃 | 悪性腫瘍:肺がん、肝細胞がん、胃、乳がん | 19,20,21,22.23 |
15 | 〃 | 悪性腫瘍:大腸癌、前立腺癌、卵巣癌 | 19.20.22,24 |
アクティブ・ラーニングの取り組み
各回に補助プリントを配布し、講義を進行しながら、空欄部分を記入させるようにしている。さらに、各回に学生を指名し症例内容に対するポイント、薬学的アプローチについて意見を述べさせている。
授業で行っている工夫(思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)
教科書が症例ベースで構成されているため、専門領域に特化した教員が自らの臨床経験も加味しながらどのように薬学的視点からアプローチを加えていくべきなのか、臨場感を持って学生に伝えるための工夫をしている。将来専門薬剤師として、臨床現場で専門性を発揮するための基礎となる薬物療法全般に関する幅広い知識や視点を身に付け、専門薬剤師特論の講義につながるよう工夫している。
成績評価方法
<試験により評価する>
総括的評価
知識:毎回の授業内試験(レポート)の結果に基づいて評価する(100%)。必要に応じて追再試験を1回実施する。 但し、受講態度によっては受験資格を失うことがある。
教科書
講義資料はWebClassより各自で印刷し、講義時に持参すること。なお講義資料がある場合は、原則として講義前日の18時を目途にWebClass上で公開される。
参考書
処方管理学(南山堂)
visual core pharma 薬物治療学 改訂12版(南山堂)
治療薬マニュアル2024(医学書院)
今日の治療指針2024年版(医学書院)
病気がみえる vol.2 循環器 第5版(メディックメディア)
処方Q&A 循環器疾患(南山堂)
オフィスアワー
下枝 貞彦:火曜日の終日と水曜日の午前以外はいつでも可。但し、事前にメール(shimoeda@toyaku.ac.jp)による予約が必要。臨床薬剤学教室
杉浦 宗敏:いつでも可。但し、あらかじめ予約が必要。
平田 尚人:水曜日以外はいつでも可。ただし、事前にメールでの連絡が必要。臨床薬剤学教室 医療薬学研究棟 2階 M206室
畔蒜 祐一郎:木曜日以外はいつでも可。但し、メールによる予約が必要。医療薬学研究棟2階 M206号室
所属教室
下枝 貞彦 臨床薬剤学教室 教授 医療薬学研究棟2階 M207室
杉浦 宗敏 医薬品安全管理学教室 教授 医療薬学研究棟3階 M304号室
平田 尚人 臨床薬剤学教室 准教授 医療薬学研究棟2階 M206室
畔蒜 祐一郎 臨床薬剤学教室 助教 医療薬学研究棟2階 M206室
準備学習(予習・復習等)
70分の授業ごとに予習と復習を各々70分以上行うこと。授業を受ける前に講義予定項目のSBOを確認し,テキスト(プリント)の該当範囲を読んでから講義に臨むこと。また講義の後は必ず復習し、判らないことはそのまま放置せずに、参考書等で調べ理解を深める必要がある。自分で調べることがとても重要であるが、それでも理解できなければ、オフィスアワーや次回の講義時に教員に質問すること。
なお、講義で用いる資料については原則として講義前日の18時までに WebClassにアップするので、受講者各自で印刷し資料に目を通してから講義に臨むこと。
学生へのフィードバック
各講義の終了時に、その日に行った講義内容のポイントを講義中に用いた資料を振り返りながら復習する。また、講義開始時においても前回の講義内容を冒頭で復習して、その日の講義につなげる工夫をしていく。
教員からの一言
本講義は、長年第一線の病院薬剤師として現場経験を積み、様々な疾患に精通した教員が担当する。講義担当教員はいずれにも専門分野を有しており、患者に対して薬物治療行う際、何をポイントにチーム医療の中で薬学的アプローチを行っていくべきなのか、そのコツを熟知している。
そこで本講義は、将来臨床現場において専門薬剤師を目指す学生に対し、各領域において専門性に特化する際、その基礎となる薬学的アプローチの考え方を理解し、医療チームの中で信頼される専門薬剤師になるための準備学習を提供するものである。
備考
実務家教員担当科目
ナンバリングコード
EH5105