薬学部シラバス2024
レギュラトリーサイエンス
Regulatory Science
5年 前期 (選択)専門科目Ⅱ 1単位 | |
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益山 光一 井上 勝央 北垣 邦彦 五十嵐 中 白形 由美子 長谷川 要 岸本 久直 樋口 慧 |
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学習目標(GIO)
レギュラトリーサイエンスとは. 「科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行い、科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学」と定義されている。これからの医薬品開発に関して、治療効果や安全性に加え、社会的背景や評価方法、医療経済なども考慮しながら、社会との調和を図ることが重要である。また、患者から見て真に優れた医薬品が薬物療法の現場で活用されるには、医薬品の一生、すなわち探索、開発、製造、製剤設計、前臨床、治験、審査承認、市販後安全対策、適正使用等の各段階において、レギュラトリーサイエンスの概念に基づく適切な評価・調整が必須となる。本科目では、将来患者さんに安全で適切な医薬品の提供ができる薬剤師になるために、医薬品の誕生から適正使用までに対する適切な評価・調整に関する知識を習得する。また、知的財産に関する基本的な知識の修得も行う。
行動目標(SBOs)
番号 | 内容 | コアカリとの関連コード |
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1 | 古典的な医薬品開発から理論的な創薬への歴史について概説できる。 | A-1-4-1 B-2-2-11 |
2 | 医薬品開発の標的となる代表的な生体分子を列挙できる。 | C4-1-1-1~2 |
3 | 医薬品開発を計画する際に考慮すべき因子を列挙できる。 | B-2-2-2 |
4 | 疾病統計により示される日本の疾病の特徴について説明できる。 | D1-1-1-1 D1-1-2-1~3 |
5 | 医療用医薬品で日本市場および世界市場での売上高上位の医薬品を列挙できる。 | B-3-2-1 |
6 | 新規医薬品の価格を決定する要因について概説できる。 | B-3-1-6 |
7 | ジェネリック医薬品の役割について概説できる。 | B-3-2-3 |
8 | 希少疾病に対する医薬品(オーファンドラッグ)開発の重要性について説明できる。 | Y-2-3-5 |
9 | 非臨床試験の目的と実施概要を説明できる。 | E3-1-1-3 |
10 | 臨床試験の目的と実施概要を説明できる。 | E3-1-1-3 |
11 | 医薬品の販売承認申請から、承認までのプロセスを説明できる。 | B-2-2-2 |
12 | 市販後調査の制度とその意義について説明できる。 | B-2-2-5 |
13 | 医薬品開発における国際的ハーモナイゼーション(ICH)について概説できる。 | Y-2-1-2 |
14 | 医薬品の工業的規模での製造工程の特色を開発レベルのそれと対比させて概説できる。 | E5-2-2-1~2 |
15 | 医薬品の品質管理の意義と、薬剤師の役割について説明できる。 | A-1-2-5 |
16 | 医薬品製造において環境保全に配慮すべき点を列挙し、その対処法を概説できる。 | E5-2-2-2~4 |
17 | GLP、GMP、GCP、GPMSPの概略と意義について説明できる。 | E3-1-1-5 |
18 | 医薬品の創製における知的財産権について概説できる。 | E3-1-3-5 |
19 | 代表的な薬害の例(サリドマイド、スモン、非加熱血液製剤、ソリブジンなど)について、その原因と社会的背景を説明し、これらを回避するための手段について考える。 | A-1-3-5~7 |
20 | 薬物動態を考慮したドラッグデザインについて概説できる。 | Y-3-38-2 |
21 | 治験に関してヘルシンキ宣言が意図するところを説明できる。 | A-2-4-1 |
22 | 医薬品創製における治験の役割を説明できる。 | B-2-2-3 |
23 | 治験(第Ⅰ、Ⅱ、およびⅢ相)の内容を説明できる。 | B-2-2-2~3 |
24 | 公正な治験の推進を確保するための制度を説明できる。 | B-2-2-3 E3-1-1-5 |
25 | 治験被験者の人権の保護と安全性の確保および福祉の重要性について説明できる。 | A-2-4-1~2 |
26 | 治験業務に携わる各組織の役割と責任を概説できる。 | B-2-2-3 |
27 | 治験における薬剤師の役割(治験薬管理者など)を説明できる。 | A-1-2-5 |
28 | 治験コーディネーターの業務と責任を説明できる。 | B-2-2-3 |
29 | 治験に際し、被験者に説明すべき項目を列挙できる。 | B-2-2-3 |
30 | インフォームド・コンセントと治験情報に関する守秘義務の重要性について説明できる。 | A-2-3-3 B-2-2-3 |
31 | 遺伝子治療の原理、方法と手順、現状、および倫理的問題点を概説できる。 | E2-8-2-1 |
32 | 再生医療の原理、方法と手順、現状、および倫理的問題点を概説できる。 | A-2-2-3 E2-8-3-3~4 |
33 | ゲノム情報の創薬への利用について、創薬ターゲットの探索の代表例(イマチニブなど)を挙げ、ゲノム創薬の流れについて説明できる。 | Y-3-52-12 |
34 | 疾患関連遺伝子情報の薬物療法への応用例を挙げ、概説できる。 | C7-1-1-3 |
35 | 臨床試験の代表的な研究デザイン(症例対照研究、コホート研究、ランダム化比較試験)の特色を説明できる。 | E3-1-6-1 |
36 | バイアスの種類をあげ、特徴を説明できる。 | E3-1-6-2 |
37 | バイアスを回避するための計画上の技法(盲検化、ランダム化)について説明できる。 | E3-1-6-6~7 |
38 | リスク因子の評価として、オッズ比、相対危険度および信頼区間について説明できる。 | E3-1-6-9 |
39 | 基本的な生存時間解析法(Kaplan-Meier曲線など)の特徴を説明できる。 | E3-1-5-7 |
40 | 国民医療費の動向を概説できる。 | B-3-2-2 |
41 | 保険医療と薬価制度の関係を概説できる。 | B-3-1-2,6 |
42 | 診療報酬と薬価基準について説明できる。 | B-3-1-7 |
授業内容
回数 | 担当 | 内容 | 対応(SBOs) |
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1 | 北垣 | レギュラトリーサイエンスの概念と講義概要、医薬品創製と薬害の歴史 | 3,11,12,23 |
2 | 五十嵐 | 社会保障制度及び医療保障の仕組み | 40,41 |
3 | 五十嵐 | 国民医療費、薬価制度 | 40,41,42 |
4 | 益山 | 医薬品開発に関するレギュラトリーサイエンスについて | 1~5,10,21,22,24~30 |
5 | 白形 | 特許・知財(1) | 18 |
6 | 白形 | 特許・知財(2) | 18 |
7 | 飯田 | 市販後に関するレギュラトリーサイエンスについて | 12,15 |
8 | 長谷川 | バイオスタティスティクス(1)生物統計の基礎 | 35~37 |
9 | 長谷川 | バイオスタティスティクス(2)臨床への応用 | 35~37 |
10 | 井上 | レギュラトリーサイエンスに関する最近の動向(1) | 10~14 |
11 | 〃 | レギュラトリーサイエンスに関する最近の動向(2) | 6,15~17 |
12 | 岸本 | 薬物動態を考慮した医薬品開発 | 2,3,20 |
13 | 樋口 | 総括・総合演習 | 1~42 |
アクティブ・ラーニングの取り組み
毎回、小テストを行っている。
授業で行っている工夫(思考力・判断力・表現力の向上に向けた取り組み)
初回に本講義科目の概要を解説する。各講義では、出きる限り理解しやすい資料を配布し、必要に応じて練習問題に回答させ、理解を深めるようにしている。さらに、最終回では全体の講義のまとめを行い、知識を整理し、問題解決能力の醸成に努めている。
成績評価方法
1)形成的評価:練習問題を出題し、それに答えさせることにより、知識の確認を行う。
2)総括的評価:小テスト(100%)により総合的に評価する。
<総括的評価>
・S(90以上~100%):合格
・A(80~90%未満):合格
・B(65~80%未満) :合格
・C(55~65%未満) :合格
・D(55%未満) :不合格
教科書
使用しない
参考書
日本薬学会編:スタンダード薬学シリーズ8「医薬品の開発と生産」(東京化学同人)
オフィスアワー
いつでも可。但し、要事前連絡。
所属教室
北垣 邦彦 社会薬学研究室 教育3号館1階3102-3
益山 光一 薬事関係法規教室 教育3号館1階3102-2
井上 勝央 薬物動態制御学教室 研究1号館3階303
岸本 久直 薬物動態制御学教室 研究1号館3階303
樋口 慧 薬物動態制御学教室 研究1号館3階303
準備学習(予習・復習等)
本講義は、これまでに学習してきた医薬品開発に関する科目について十分に理解できていることを前提としています。授業を受ける前に講義予定項目のSBOを確認し、3~4年生までに学習したの該当範囲を確認してから講義に臨むこと。また、講義後の復習を必ず行うこと。
学生へのフィードバック
学生が予習で行った空語補充の正誤確認と説明を行う。
最終回で、レギュラトリーサイエンスに関する総括及び総合演習を行う。
教員からの一言
安心・安全で有効なくすりが世の中に出ていく過程、さらにその過程におけるレギュラトリーサイエンスの必要性についてわかりやすく講義を進めていきますので、しっかり講義を聴くように努めてください。
備考
ナンバリングコード
EH5103